sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

インサイト営業とは

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インサイト営業とは

インサイト営業(インサイトセールス)をしていくには、大きく分けて以下の4つの能力が必要である。

である。

 

①リサーチ

これはR-PDCAと別の記事でも書いたように、最も大事な基本である。
全ての商談のスタート地点は顧客を調べ上げ、よく知る事である。

有意義な情報が少なければ分析もできない、仮説も生まれない。
そうなれば商談で相手に刺さる話ができる確率は極めて低くなる。

市場データ以外でも、インターネット、ブログ、新聞、FaceBookTwitter、本(論文)などはくまなくチェックすべし。

その人の趣味や、家族構成、出身地、持ち物、思想、興味のある話題がわかれば上出来である。

 

②分析

情報を集めたら分析である。
できるだけファクトで数字を集め、傾向を統計的にとりたい。

ある程度の企業では市場データくらいは手に入るのではないだろうか。
数字を眺める時間は長ければ長いほどよい。(よほど天才で無い限り)

市場データは、毎日眺め、毎日「こういう傾向があるかもしれない」、「ここのシェアが先月上がっている原因はあれか」、「今月動きが鈍いのはあれのせいだな」
などと考えているうちに新たな角度から考察できる瞬間がある。

これは精神論に近いが、こればかりは数字を読めるようになるには時間が必要なのである。

たとえて言うならば、競馬やパチンコの予想に近いかもしれない。または気候と潮の流れを読む釣り人の感覚に近いとも言えるかもしれない。

 

③仮説思考

データが集まったらひたすら頭の中でそれぞれを組み合わせる。
「こう言ったら刺さるかな」、「こうしたら喜ぶだろうな」、「こういう情報を求めているはず」といったシンプルな仮説ができあがる。

どんな営業マンでも考えることだろうが、この仮説の精度はケタ違いである。

 

ちなみに自慢だが、僕はルートセールス時代、会社から「1日に10軒訪問しなさい」と言われていた。
しかし僕は実際、平均で4~5軒程度しか訪問していなかった時期が多かった。(もちろん、力を入れる時期には活動量重視にしていた時もあるが)
それでも実績は人より圧倒的に良かったし、競合他社は「あいつはいつもいる」と警戒されていた。
いつ、どこに行き、誰に会うのが効果的か、熟知していたので生産性が極めて高かったのだ。そして実際、他の誰より売れていた。

 

④質問力

どれだけ精度の高い仮説を持っていても、それを真正直に商談で顧客にぶつけてしまっては宝の持ち腐れである。

インサイト営業では、「重要な事こそ質問する」スタイルであることを心掛けなければならない。

顧客は、営業マンから教わって嬉しいわけが無い。自分で気付きたいのである。

たとえそれが、わかりきっているほどの仮説だったとしても、"あくまで仮説"として質問し、相手自身に気付かせるのである。

それが相手の自尊心の保護にもなるし、気付きを得た喜びにも繋がる。

 

なのでインサイト営業では基本的に強いクロージングを必要としない、と僕は考えている。

ぜひ、ここまでマスターし、楽しく幸せな営業マンライフを送る人が一人でも増える事を切に願う。