sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

小さなYesを積み重ねる

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営業で"売る"ということは、

その商品を買って頂く事に対しYesと言って頂く。ということに等しい。

 

その為には、その商品を買って頂くために必要なKPIとなる、

いくつかの項目についてのYesを集めることをすれば良い。

 

AかつBかつCかつDであれば商品Eを購入する、という仮説を立て、

A,B,C,Dにあたる質問に対してYesと思って頂くのである。

 

例えば車の販売店の営業マンの場合、

①車の購入の必要性に対してYesをもらう

②自社(店)での購入メリットにYesをもらう

③この車の魅力にYesをもらう

という3つの条件を満たせば基本的には商談は合意となる。

(厳密には競合との比較や予算の問題などあるが)

 

もう少し詳細化すれば

例えば水を売りたい場合、このような質問の流れとなるはずだ。

 

・水を飲む事ってありますか??

→Yes.

・どんなときに飲みます?

→○○な時とかかな。

・外出先だったらペットボトルですかね?

→Yes.

・どの水が好きですか?(ボルビック、エビアンコントレックスなど)

→xxかな。

→xxおいしいですよね。僕も好きです。

・家に居るときは水道水ですか?

→Yes.

・それはなぜですか?家に水を常には置いていないからですか?

→Yes.

・普通そうですよね。ボルビックとか飲み慣れていると

 水道水ってやっぱりあまり美味しくないですよね?

→Yes.

・では、いつでも冷たくて美味しい水が

 家で飲めたら、それって良くないですか?

→Yes.

・しかもそれがコンビニのペットボトルより

 断然安かったとしたらかなり魅力的じゃないですか?

→Yes.

→安くて美味しいウォーターサーバーをいかがですか?

→Yes.=成約

 

ウォーターサーバーを売ったことはないがたぶんこんな感じになるだろう。

これを、一般的な営業マンは、

いつでも冷たくて美味しくて安く家でお水を飲めるウォーターサーバー

買いませんか?

といったトークフローで売ろうとするわけである。

 

何のニーズも掴まず、同意も得ず、こちらの意見だけ相手に押しつけたら、

買うどころか逆に不信感や不快感だけが残る。

そもそも一方的で、会話として成立していない。

 

営業のコンサルティングする中で、よく"トークフローの作成"という支援内容がある。

確かに、最低レベルの営業人材を平均点レベルへ引き上げる為であればトークフローは必要だが、このような仕事はコンサルティングの醍醐味からはほど遠い。

これは、一方的な押しつけ営業を量産することに荷担しているだけなので

自分自身、理想的な仕事からはほど遠く、何とも言えぬ気持ちになる。

 

ただ、なぜそれをやるかというと、

上記のような会話の中で"小さなYesを積み上げる"ができるレベルの人間が

世の中にほとんどいない、もしくは圧倒的少数であるからだ。

だからレベルを落とすことで営業マンのセールストークという品質を

低いながらも一定に保ち、なおかつ平均レベルを上げるという無個性なつまらない作業をするのである。これが、会社としては確実な業績向上になるのでそれは仕方ない。

 

このようにして育った営業マンは営業の事を楽しくないと言うだろう。

一方で"小さなYesを積み重ねる"ような営業をしている人は、

会話を楽しみ、人の心の動きを楽しみ、売れることで自分も喜び、顧客が喜んでくれることで自己肯定感も持ち、楽しく幸せになっていくはずである。

 

この手法を学びたい方はいつでもご連絡ください。