ニッチな提案を足掛かりとする
営業マンというものはいつもに「今」の数字を追っている。
その中で最も重要な指標は売上額だろう。
しかし、常に近視眼的に売り上げ金額を追っていると、
長期的に見て機会損失を生じる場合は多い。
今回はタイトルにもあるように、
”ニッチな提案を足掛かりとする”営業手法だが、
これは上記の、短期的な売り上を最大化する方法ではない。
この目的は下記の二つである。
- 受注率の向上
- LTV(Life Time Value)の最大化
つまり、初回契約時には少額の取引になったとしても
口座を作り、将来的には合計で多くの金額を
その顧客からただいくという考えである。
1.受注率の向上
0か100かでの提案で失注されるなら当然売上はゼロになってしまう。
いつも100を狙っていると、失注した際のリスクは当然大きくなるので、
10〜20くらいの提案も持っておけば、100の受注ができなかった際にも
口座自体を取れないというリスクを抑えられる。
なにかしらのニーズがあり顧客は提案を受けているので、
0 =失注した際はコンペ負けで他社の安い提案に持っているというケースも多い。
そうすること、もう二度と提案チャンネルは来ないと思った方がいい。
なので、100の受注ができるなそうだと察知した場面で、
20くらいの代替案を出す状態としておくことが大事になる。
その際、単に安いプランを準備しておくのではなく、
途中で20のプランがベストだとしてロジックを用意し、提案するのである。
「本当には100のプランでご契約いただいたのは山々ですが、御社の状況を考えてと○○という点で20のプランが最適かと思います」
とした上で、時期感覚とやるべき事を明確にし、
「初期は3ヵ月でこれまでの状態に持っていき、その後半年掛けて全体に浸透してけば、、なので9か月後に100でやりましょう」というプロセスを売るのです。
その実際は特に、スモールスタートするためだけの20の提案をするのではなく、
できるだけ強みを尖らせ切った(他社にまねできない)20の提案をしよう。
その20と将来の100を繋ぐロジックを提案できれば、
他社は漬け込む余地がなくなる。
また最初から100で受注すると、契約がゴールになってしまえ、
営業側も顧客側も成果へのコミットメントが薄れる。
お互いにハッピーになる為に、
”これから一緒に成果創出していく”という状態で、
受注をスタートにすることができれば、
顧客のロイヤルティも高く維持したまま、継続的な取引になる。
こうして、金額が少なくても受注率を上げられれば、
自分のストックする既存顧客の件数は増え、
ターゲットリスト(かなり高い確度の案件)が増えることを意味する。
2. LTV(ライフタイムバリュー)の最大化
上記のように、スモールスタートし、
一緒に成果創出に向けて取り組んでいると顧客のロイヤルティは高まるが、
この状態は「既存顧客」である。
営業というのは一般的に新規顧客から得られる売り上げよりも
既存顧客から得られる売り上げの方が大きく、さらに
売上拡大する際の獲得コストも低い。
つまり、一度受注することで、
そのタイミングではMaxの売り上げを期待できなくとも、
将来に対して種をまき、投資しているということ。
トップセールスなど既存顧客へのフォローはマメで上手く、
常に高い水準で既存顧客から売り上げを作り、
その上で新規を受注している。
既存顧客からの売上が大きいことは、
顧客満足度が高いことを意味しており、
顧客事例も豊富に溜まるので
”この人から買って損害はない”と新規顧客へのアプローチ材料にもなる。
そうすることで顧客のLTVはどんどん膨れ上がり、
自分に個人的なファンが増える、
楽しくても自動的に売り上げが上がる仕組が構築される。
決めて、新規をないがしろにいしい話ではなく、
”とにかくホームランを狙わず、口座を作ることが大事”だという話である。
是非、一発フルスイングを狙いがちで、
継続的な売り上を作るのが苦手な営業の方は是非、
小さくても口座を作り、既存顧客を大事にした営業活動をしてみて欲しい。