sales_scientist_nakatani’s blog

「営業を科学する」Sales Scientist中谷真史のブログ。慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。その後、総合系コンサルティングファームを経て、営業・マーケティング領域の経営コンサルタントとして丸の内エリアのコンサルティングファームに勤務。

【センスのない営業マンの勝ち方】

一般に言う、“営業のセンス”がない人でも、

トップセールスになることは可能である。

 

まず、営業というのは、

「①顧客の”買いたい気持ち”を高め、②”買いたくない気持ち”を解消すること」と言える。

 

なので“売れる営業”というのは、

 

①めちゃくちゃ上手に商品の魅力を伝え、

 顧客の”買いたい気持ち”を高められる人

 

②顧客の”買いたくない理由”をなくせる人

 

③ ①と②を併せ持った人

 

の3パターンに大別される。

 

その際、「自分、センスないなぁ」と感じる人の勝負する道は、

②を極めることが重要である。

 

②を極めている状態とは、

ただ一言、「これ、買ってください」と言ったら、

顧客が「買います」という状態である。

 

これは顧客の、

購買に対するネガティブマインド=ハードル

がゼロの状態とも言える。

 

つまり、”買いたくない理由”がなければ、人はモノを買うのである。

 

なので、商談を通じ、“ハードルを下げる”活動を積み重ねていくことで、

断られる可能性を下げていきましょう、というのが営業活動となる。

 

同じ事を言うが、

ハードルを飛び越えようと高くジャンプするのではなく、

ハードルを下げる作業をすれば誰でもそのハードルをまたぐことができる。

 

この、ハードルの下げ方というのは意外と簡単である。

「自分が客だったら、こんな人から買いたいなor買いたくないな」

と想像するだけで、簡単にやるべき事は見えてくる。

 

例えば、

「やっぱり、相手がどんな人なのかもよくわからないのに、

信頼してその営業マンから買えないな」と思ったら、

仲良くなって信頼してもらうために、

・自己紹介に力を入れる

・雑談で趣味を聞き出し、その話題で盛り上がる

・訪問頻度を上げ、好印象を持っていただく

などが対策として挙がる。簡単。

 

例えば、

「今買わなくてもいいや」と思っている顧客への対応だったら、

・今の問題点を深掘りし、課題を明確にし、共感する

・そのままにしておくことのデメリットやリスク、コスト負担などを教えて差し上げる

・こういうの、解決できたらいいですよね、と合意する

などで、かなりハードルが下がる。

 

当たり前のようだが、チャンス(ニーズ)を見つけて攻め込むのではなく、

「断る理由がなくなるまで環境を整える」という事が大事。

その環境は、人間関係構築や情報収集などで概ね整えられる。

 

こうした積み重ねがあれば、

どんなに営業センスのない人間でも、トップセールスになれる。

 

【断られる事がニーズ発掘の第一歩】

「顧客のニーズは何だ?」

よく現場で上司から言われる言葉ではないだろうか。

 

それを正しく把握できている営業はどれくらいいるのだろうか。

 

そもそも、「ニーズ」というのは、そう簡単には見つからない。

表面化しているニーズなんて、誰かがすでに叶えていて、

商談しても「もう今使っている製品で満足しているから新しいのはいらない」と

断られるのがよくあるケースだ。

 

まず、本当のニーズなんていうものは、

会ってすぐの信頼してもいない営業マンに対してさらけ出すわけがない。

 

なので、「あなたのニーズはなんですか?」と聞いても答えてくれない、

もしくは、そのニーズは本心ではない。

 

もっと言えば、顧客本人さえ、自分のニーズが何なのかすらわかっていないケースが多いだろう。

 

そこで、タイトルの通り、【断られる事がニーズ発掘の第一歩】となる。

 

つまり、トライアルクロージング(テストクロージングとも言う)によって、

一度断られ、そこから本心や真のニーズを探っていくということである。

 

流れとしては、

・飽きられない程度に簡潔に商品紹介

→メリットについて合意

→「いいですよね。買ってくれますか?」

といった感じである。飽くまでも、サラっと、軽いタッチで。

 

え?こんな簡単なの?(むしろ営業へたくそか!)と思われるかもしれないが、

ここで一回断られるのが大事なポイント。

 

この先の商談で意識しなければならないのは、

「何を求めているか」という視点ではなく、

「なぜ買わないのか」という視点に切り替えて話を深堀りすることである。

 

つまりWhatではなくWhyでの商談。

 

“買わない理由”を深堀りすることで、相手の真のニーズが見えてくる。

すると、「こういうのが欲しい」と言っていたものとは違うケースが出てくる。

 

それが、【潜在的ニーズ】である。

(本人も気付いていなかったニーズ)

 

これに気付かせることができ、それに対し合意でき、

自社商品によって叶えることができたときにはほぼ必ず売れる。

(「商品がよくないから売れない」というよくある言い訳は、相手のニーズを捉えきれていないが故に、無意味なセールストークでその商品の価値を落としている可能性がある)

 

大まかなトークフロー

・なぜ買わない?(深掘り)

→それはなぜ?(深掘り)

→それはなぜ?(深掘り)

→それはなぜ?(深掘り)

→ということは○○ということ?(認識合わせ)

→それはもしかして××にお困りということではないか?(課題合意)

→そういうのって大変ですよね、お困りの方多いですよね(共感)

→それならうちの商品のこういう面で役に立てるのでは?(解決策提示:後出しじゃんけん)

 

このような商談の型を実践することで、

顧客との信頼関係は強固になり、

成約率もアップする。

【コミュニティ形成し顧客と仲間になる】

コミュニティ形成のうまい営業マンは

業績が良いように思う。

 

これは何故か。

 

①共通の話題、秘密の共有による親近感

②口コミの利用

③新規顧客の紹介獲得

 

これらによって非常に営業がしやすくなるからだ。

この三つは、通常の営業手法ではそう簡単にリーチできない、

いわば飛び道具になる。

これだけで一発逆転、という数字を作れるインパクトのある

戦術であるが、難易度は高い。

 

この上記三つのメリットが何か、紹介する。

 

①話題、秘密の共有による親近感

人は、よく知らない相手に対しては当然警戒心を持つ。

なので当然営業をかけてもハードルは高い。

 

しかし、仮にあまり知らない相手でも例えば、

互いに同じ野球チームを応援していたら話は弾むだろう。

 

そして勝手に「仲間だ」と感じたりする。

 

そうなると、相手のことは実はよく知らないのに、

「よく知っている」という気になるのである。

 

このようにして、共通の話題、趣味などを持つ人間を集めれば

自然と仲間意識は芽生える。

 

そのコミュニティの話題や、

もっと言えば「二人だけの秘密」などがあれば営業としては最強である。

 

こういった話題のある関係性(コミュニティ)を意図的に作ることさえできれば、

顧客の購買ハードルを下げることは容易になるわけである。

 

②口コミの利用

その共通の興味を持つ人間を二人以上集めれば一つのコミュニティの

できあがりである。あとはこれの人数を少しずつ増やしていくことだ。

 

そのコミュニティでは、皆がとある一つの興味という軸で

同じベクトルを向いている訳なので、互いの言葉は信頼しやすい環境である。

 

ここで誰かが、自分の評判を上げてくれると、他の人が直ぐに、

買ってくれたり、買ってくれそうな人を紹介してくれたりするのである。

 

この口コミのパワーは、普段の地道な営業活動がばかばかしくなるほどだ。

 

また、自分は既に信頼を獲得している状況に等しいので、例えば

「Aさんを攻略したいので、Aさんと仲良いBさん、協力してくださいよ」

という多少図々しいお願いもできる。

 

③新規顧客の紹介

上記の協力依頼と同じで、紹介依頼もし易い。

当然、仲間だと思われていれば新たな顧客を快く紹介してもらえる事は多い。

 

これにより新規開拓の時間は大幅に短縮される上、

紹介では見込み客の質が高いので当然成約率も高く、

非常に有効な打ち手となる。

 

この三つの理由により、コミュニティ営業最強説を唱えたい。

 

こうして仲間が増えていくと自然に、

自分の周りに人も情報も集まってくる。

こうすれば営業としては向かうところ敵なしである。

 

顧客からも、代理店などからも、競合からも頼りにされる存在になれる。

 

 

人は共通の話題を通じて相手を信頼したり、

親近感を感じたり仲間意識を持ち、特別扱いしたくなる習性があるので、

これを利用すれば顧客の購買意欲を掻き立てることはそう難しくなくなる。

 

ただ、そもそもコミュニティを作れる信頼を獲得できるまでの

段階が、営業の難しいところなのかもしれないが。

 

【Six human needsを理解して顧客を攻略する】

シックスヒューマンニーズを活用して営業をすると、

仮説の精度が上がり提案の打率が上がる。

 

シックスヒューマンニーズとは、「人間の6つの欲求」のことである。

これはマズローの五段階欲求説などに代表される、人間理解の

考え方(フレームワーク)の一つである。

 

人の行動は突き詰めていくとこの6つのうちどれかの欲求に突き動かされている、

という考え方である。

 

これを理解できていると、洞察力が高まる。

 

6つの欲求とは、

 

①安定感のニーズ

→安定したいという欲求

営業現場で考えるとたとえば、

⇒商品の安全性や信頼性が高い、だれか有力者が推奨している、実績が豊富、といったトークなど。

 

②不安定感のニーズ

→変化が欲しい、スリルが欲しいという欲求

営業現場で考えるとたとえば、

⇒世界初!や業界初の技術、取り組み、かつてまだない経験ができる新商品などハイリスクハイリターンなものの提案など。

 

③重要感のニーズ

→価値ある存在、自分はすごいと思われたいという欲求

営業現場で考えるとたとえば、

⇒一般に出回らない特別パーティーへの招待、上司や社長の表敬訪問、優先販売をするなど。

 

④愛情のニーズ

→誰かに愛されていたいというニーズ

営業現場で考えるとたとえば、

⇒人から好かれるような商品提案(モテるアイテムなど)、買った後のサポートでずっと担当者とつながっていられることのアピール、など。孤独感の反対である。

 

⑤成長のニーズ

→成長したいという欲求

営業現場で考えるとたとえば、

⇒before/ afterの劇的な変化(成長)を示す、ダイエットの効果や英語塾でTOEICxx点アップ、など。どんな将来像をイメージさせられるかが重要。

 

⑥貢献のニーズ

→何かに貢献したいという欲求

営業現場で考えるとたとえば、

⇒金銭や地位ではなく、その行動がいかに社会に役立つか、どれだけ人を喜ばせられるものか、のアピールなど。

 

これらを満たせるような提案を心がけることが大事である。

 

全てを満たそうとするのではなく、どれを満たせるのか、

顧客はどれのニーズが強いのかを把握し、提案することで、

顧客は"自分のことを考えてくれている(わかってくれている)"と感じ、

受け入れられる確率が格段に上がるのである。

 

 

結局、営業を突き詰めると心理学に帰結するのではないだろうか。

 

【マーケットインとプロダクトアウト】

営業は常にマーケットインを意識し続けなければならない。

 

簡単に言うとマーケットインとは、

顧客のニーズをもとに商品を開発したり、売り出すこと。

 

一方のプロダクトアウトとは、

生産者(メーカー側など)が主体となり売り出していくこと。

 

営業において言うと、

マーケットイン

→「(顧客のニーズをもとに)この商品だったらあなたにぴったりです」

 

プロダクトアウト

→「この商品はものすごく品質が高いんです」

といったようになる。

 

このように比較すると、

当然ながらマーケットイン型の営業の方が良いとわかると思うが、

残念ながらこれをできている人が少ないのが現状である。

 

日本ではかつてソニーに代表されるプロダクトアウト型の

企業が躍進を遂げてきた。

Made in Japan と言われるように、日本製の商品は品質が高い、というのが

日本メーカーの誇りであり、それが定着したことにより、

"良い製品を作れば売れる"という思考が定着している。

 

実際、多くの営業マンを見ていても、

商品に詳しく、説明も上手なのに売れない。という

悩みを抱えている方が非常に多い。

 

そのような方はほとんどの場合、

一方的に「この商品はいいですよ!」となってしまっている。

 

しかし現代のほとんどの企業は他社との差別化は難しく、

多くのサービスはコモディティ化している。

そんな中でプロダクトアウト型の営業をしても顧客には響かない。

 

商品やサービスに溢れている現代に顧客に受け入れられるためには、

"その数多くの商品やサービスの中で、如何に自社品が顧客ニーズに適しているか"

を伝えられることが大事になる。

 

これがマーケットイン型の営業である。

 

マーケットイン型の営業をするためには、

・顧客のニーズを知ること

・ニーズを聞き出した上で、顧客に最適な提案をすること

この二つが必要である。

その為には、

 

・一方的に喋らず質問ベースでニーズを聞き出すこと

・現状の不満足を顧客に認識させること

・その不満足に対する解決策としての提案をすること

 

この3ステップでの商談となる。

今までプロダクトアウト型の営業をしてきた人にとっては、

かなり喋るのを我慢しなくてはならないが、これにより

かなりクロージングの決定率が上がる。

 

そして、こうして成約すると、顧客は自己肯定感が生まれるので

その後の付き合いも持ちやすい。

 

一方的に喋っていてなかなか成約率の上がらない営業マンには是非試していただきたい。

【小さなYesを積み重ねる】

営業で"売る"ということは、

その商品を買って頂く事に対しYesと言って頂く。ということに等しい。

 

その為には、その商品を買って頂くために必要なKPIとなる、

いくつかの項目についてのYesを集めることをすれば良い。

 

AかつBかつCかつDであれば商品Eを購入する、という仮説を立て、

A,B,C,Dにあたる質問に対してYesと思って頂くのである。

 

例えば車の販売店の営業マンの場合、

①車の購入の必要性に対してYesをもらう

②自社(店)での購入メリットにYesをもらう

③この車の魅力にYesをもらう

という3つの条件を満たせば基本的には商談は合意となる。

(厳密には競合との比較や予算の問題などあるが)

 

もう少し詳細化すれば

例えば水を売りたい場合、このような質問の流れとなるはずだ。

 

・水を飲む事ってありますか??

→Yes.

・どんなときに飲みます?

→○○な時とかかな。

・外出先だったらペットボトルですかね?

→Yes.

・どの水が好きですか?(ボルビック、エビアンコントレックスなど)

→xxかな。

→xxおいしいですよね。僕も好きです。

・家に居るときは水道水ですか?

→Yes.

・それはなぜですか?家に水を常には置いていないからですか?

→Yes.

・普通そうですよね。ボルビックとか飲み慣れていると

 水道水ってやっぱりあまり美味しくないですよね?

→Yes.

・では、いつでも冷たくて美味しい水が

 家で飲めたら、それって良くないですか?

→Yes.

・しかもそれがコンビニのペットボトルより

 断然安かったとしたらかなり魅力的じゃないですか?

→Yes.

→安くて美味しいウォーターサーバーをいかがですか?

→Yes.=成約

 

ウォーターサーバーを売ったことはないがたぶんこんな感じになるだろう。

これを、一般的な営業マンは、

いつでも冷たくて美味しくて安く家でお水を飲めるウォーターサーバー

買いませんか?

といったトークフローで売ろうとするわけである。

 

何のニーズも掴まず、同意も得ず、こちらの意見だけ相手に押しつけたら、

買うどころか逆に不信感や不快感だけが残る。

そもそも一方的で、会話として成立していない。

 

営業のコンサルティングする中で、よく"トークフローの作成"という支援内容がある。

確かに、最低レベルの営業人材を平均点レベルへ引き上げる為であればトークフローは必要だが、このような仕事はコンサルティングの醍醐味からはほど遠い。

これは、一方的な押しつけ営業を量産することに荷担しているだけなので

自分自身、理想的な仕事からはほど遠く、何とも言えぬ気持ちになる。

 

ただ、なぜそれをやるかというと、

上記のような会話の中で"小さなYesを積み上げる"ができるレベルの人間が

世の中にほとんどいない、もしくは圧倒的少数であるからだ。

だからレベルを落とすことで営業マンのセールストークという品質を

低いながらも一定に保ち、なおかつ平均レベルを上げるという無個性なつまらない作業をするのである。これが、会社としては確実な業績向上になるのでそれは仕方ない。

 

このようにして育った営業マンは営業の事を楽しくないと言うだろう。

一方で"小さなYesを積み重ねる"ような営業をしている人は、

会話を楽しみ、人の心の動きを楽しみ、売れることで自分も喜び、顧客が喜んでくれることで自己肯定感も持ち、楽しく幸せになっていくはずである。

 

この手法を学びたい方はいつでもご連絡ください。

【怠け者のハイパフォーマーに学ぶ】

営業職に就いている方、周りに、“怠けて見えるのに売れている”という人は居ないだろうか。

そういう人はだいたい、人と違うことをしている。

 

そんな人が怠けなければより良いパフォーマンスを出せる。

だから行動を管理し、皆同じ活動量に引き上げよう、というのが一般的な管理職と、

コンサルタントの考えだ。

ロジック的には正しい。

しかし、それではうまくいくことはない。

 

怠けている時間にその人は何をしているか。

天才的な人は恐らく何もしていない。

ただ、天才ではない99%の人は、怠けるために仕事をしている。

(実は怠けていないのである)

 

どういうことかというと、

一般に"怠けている"と思われている理由は、“訪問していない”といった理由がほとんどである。

営業は確率の世界であり、

”商談数×成約率×単価=売上”

という方程式は変わらない。

 

この中で、商談数のみが即効性のある変数となるので、皆そこに着手するのである。

でも、怠け者のハイパフォーマーは、そのロジック以外の道を見つけ出している。

 

つまり、売上を上げるためには商談数を増やすよりも成約率を上げる方が、

楽をして効果が出せることがあることを知っているのである。

 

なのでその怠け者は商談しないでサボっている間に、市場の傾向を分析していたり、

顧客情報をリサーチしていたり、商談の流れを考えていたりと、戦術を考えていたりするのである。

そうすることで、商談あたりの成約率=生産性が上がる。

 

営業、というのは日本の商習慣にどっぷり浸かった極めて古くさい手法が未だ良しとされる一面がある。

これからの時代、この画一的な頭の固いスタイルでは時代に取り残されていくだろう。

 

この、怠け者のハイパフォーマーに、今後の日本の営業のヒントがあるのではないだろうか。