sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

なぜSFA導入は失敗に終わるのか

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Sales × Technology、セールステックが徐々に日本にも浸透し始め、

営業組織をデジタル改革する企業も増え始めている。

 

そんな中ではあるが、セールステックの中心核であるSFA/CRM導入にて、

実際のところはなんと約半数の企業は導入後、運用失敗に終わっているという調査がある。

 

それはなぜなのか?

これからSFAを導入する検討中の方や、既にSFAを導入されている方にもtipsを届けられれば幸いである。

 

なぜSFA導入は失敗するのか

 

その理由は大きく分けて二つある。

これらについて、未然に失敗を防げるようその背景と対策について論じていきたい。

 

① 現場の入力が定着しない

 

実はこれが一番多い。

私がコンサルティングで支援した会社でも、SFAを導入していて入力が定着していた会社は肌感覚でせいぜい1〜2割程度といったところだろうか。

 

そもそも、営業パーソンは営業活動以外の業務(報告、分析、書類作成等の事務作業)が極めて苦手である。そして、基本的にITリテラシーが高い人材は少ない。

 

そして、SFAに情報を入力しなくても極論、”売れればそれで良い”のである。

 

【背景】

 

そんな営業パーソンに対し、会社としては営業活動がブラックボックス化し、Excelでの営業管理は限界を迎え、俗人化がリスクだと認識し始めている昨今、その対策としてSFA導入に踏み切る企業が多い。

 

しかしながら上記の通り、それを望む営業パーソンは少ない。

 

『営業管理システム導入するんだって?そんな管理されるのなんて御免だね』と言われるのが関の山だろう。

 

このような背景で導入をしてもSFAの導入に成功する企業は、むしろそちらの方が稀だ。

 

またこのような企業は、

 

・やりきる実行力がない

・マネージャークラスがその必要性を認識していない

・「うちの会社(業界)は特殊だから、、」という言い訳をする

・”管理” が業績Upの手段であることを忘れ、それ自体が目的化している

・”管理” が目的になるが故、不必要な要件がふんだんに盛り込まれ、現場にとって”使う気が失せる”システム設計となっている

 

このような共通点がある。

心当たりはないだろうか?あれば要注意である。

 

【対策】

 

 ・導入目的に、”管理”だけでなく、『どれくらい成果を出すか』という指標を設定する

・営業マネージャーや現場に、”目的”を浸透させる

・営業会議や経営会議ではSFAのデータをもとにディスカッションをする(Excelを廃止するという勇気ある決断)

SFAのデータをもとにメンバーへフィードバックを習慣化する

・業務フローを見直し、BPR(業務プロセス改革:Business Process Reengineering)に着手する

・”管理”ではなく、業績Upの為に分析したいデータから逆算しSFA設計をする(A社と競合した際の受注率とB社と競合したときの受注率を知りたいから、競合情報の入力項目を設定する、など)

・常にSFAの設定を見直し、項目を足したり引いたりしながらPDCAを回す

SFAから得られた情報をもとに施策立案をする

 

これらを実施している企業は、当然ながら必ずうまくいっている。

 

しかしながら、これらは簡単ことではないので、外部の支援が必要になるケースも多いし、かなりのコミットメントを求められるのは間違いない。

 

逆に言えば、安易な気持ちで導入するものではないという言い方もできる。

 

また、そのリスクを正しく伝えずにクロージングするベンダーのセールスも問題でもある。(その場合はカスタマーサクセスが優秀であればいいのだが)

 

② 入力されたデータをうまく活用できず、費用対効果が見合わない

 

ここはSFA業界の深い闇なのかもしれないと個人的に思っている。 

 

 今のSFA(一部エンタープライズを除く)は基本的にSaaS(クラウド型)のものが主流になっているが、とはいえ個別に開発を入れることでほとんどのニーズは叶えられる。

 

しかしながら、”ニーズを全て叶えた”結果、全く運用されない・成果が出ないシステムが出来上がるという事態が散見されるのが現状だ。

 

ここがポイントになるが、今回は個別開発の是非については長くなりすぎるので簡単にだけ触れることとする。

 

【背景】

 

SFAが”営業管理ツール”として見られていること

(そもそも、SFA=Sales Force Automation つまり営業成果を自動的に最大化させるという意味合いのソフトウェアなのにも関わらず。。)

・各SFAベンダーが顧客のニーズを叶えるために個別開発を許容しすぎること

(これにより、本来見るべき指標は失われ、設計も複雑になり入力されづらく、運用フローも複雑化し、カスタマーサクセスの支援を受けづらくなる)

・”誰のため”のシステムなのかという思想が抜け落ちていること 

 

一般的によくある導入意思決定、導入の進め方のケースは、

a. 営業組織の管理者が”自分の見たい指標を見るため”の要件定義をするケース

b. 管理部門やシステム部門が必要な要件を定義するケース

もしくはこの二つである。

 

a.の場合は、その人のニーズは満たせるが、逆にその人の思考を超えるものはできない。その人が業界でもNo.1の人材で、他社含め誰にも超えられない存在かつSFAを熟知していれば、その要件定義が素晴らしいものになるが、その可能性は極めて低い。

 

つまり、非常に厳しい言い方になるが、

ほとんどの人は自分の顕在ニーズが必ずしも正しくないことを認識すべきである。

 

b. の場合は、そもそも営業現場の気持ちなんか考えていない使いづらいシステムが出来上がる可能性が非常に高まり、結局「何を管理し、どう分析したいんだっけ?」という部分が抜け落ちてしまい、効果が出ない。

 

a. と b. 両方のケースでは、非常に複雑で使いづらく、さらには「最近、こういう受注傾向があるから、このデータを取りたい」となった際、一度システム部門等の合意を取り(さらには追加での開発も必要になろうものなら最悪である)、時間を掛けて設計し直ししなければならない。これではPDCAが回る速度は極めて遅く、効果は見込めない。

 

【対策】 

 

 ・営業成果を最大化させるための普遍的な指標を認識し、必ずそれが見られるよう設計すること(例えば、売上=商談数×成約率/リードタイムに単価を掛けたもの。この四つの指標の可視化)

・「なんでもできる」という個別開発に踊らされないこと

・営業現場(主にマネージャー)がSFAの目的を理解し、常にPDCAを回せるよう設定変更ができるプロダクトを選ぶこと

・(前項と被るが)成果創出という目的を絶対に見落とさないこと

・本質的に営業の成果創出の方法を分かっている(プレーヤーレベルでなく、組織として成果を創出する意味で)人材を自社に確保する、もしくはコンサルタントをつけるか、優秀なカスタマーサクセスをつけること。

・価値あるセールスビッグデータを集めるため、最低限ユーザフレンドリーなUIのプロダクトを選ぶこと

 

 これらも、非常に難易度は高いものである。

一方、これを抑えることができれば必ずと言ってよいほど、投下コストを上回るリターンは得られる。(そういったエビデンスもある。)

 

まとめ

 

まとめるとSFA導入成功に向けた最重要ポイントは、

 

・成果創出の目的を正しく設定し、それに向けて運用にコミットメントすること

・現場にとって使いやすい設計(UI含め)になっていること

・自分自身のニーズを疑い、安易な個別開発に逃げないこと

 

この三つだと思っている。

 

 自分の経験をもとになるべく中立的な立場で記載したつもりだが、

追加でご質問や異なる意見をお持ちの方々がいらっしゃったら聞いてみたいのでお問い合わせお願いします。

 

 

営業を科学する方法

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近年、営業を科学するという言葉は少しずつ浸透し始めているようだが、

その内容まで完全に理解している方はどれくらいいるだろうか。

 

今回は、その手法を徹底解説しようと思う。

(※本記事は営業マンというより、営業管理職や経営者に向けた記事です)

 

なぜ、営業を科学する(科学的に捉える)必要があるのか

 皆さんの所属する営業組織ではこのようなことは起こっていないだろうか。

  • 育たない営業人材
  • 属人化する情報資産
  • 改善されない営業活動、回らないPDCA
  • 期待値を下回る元トップセールス管理職
  • 読めない着地数字
  • 現場に入力されない営業支援ツール

このような兆候が現れていたら要注意だ。

しかし残念ながら、ほとんどの営業組織では上記のいずれかに当てはまる確率が極めて高い。

 

これらを解消し、自走しながらPDCAサイクルを回し、

”狙って(狙った通り)”売上げを向上させることができるようになれば、

これほど経営上ありがたいことはないだろう。

 

逆説的に、”狙って(狙った通り)”売上げを向上させることができない営業組織は

経営上、非常に不安定で投資しづらく、昭和の時代からなかなか進化できていない

会社も非常に多いと感じる。

 

これらは、これから記す手法を理解し、実行することで

簡単に解決できるので是非読んでいただきたい。

 

営業を科学する手法

大きく分けると必要なことは二つだけである。

それは、

  • プロセス管理
  • 購買心理から逆算したアプローチ

である。

 

プロセス管理

営業活動にはプロセスがある。

 

初めて顧客に接触するフェーズから、

初回アポイント、提案アポイント、クロージング、申込書提出(回収)など、

受注までに生じる各プロセスを切り分けて考え、

各フェーズの歩留まり(率)を集計し、

どのフェーズで失注しているかを可視化する。

 

このプロセスを設計し、集計していくことで

その営業組織の強みや弱みが明確になってくる。

例えば、このようなものである。(SFAにて集計)

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上記のグラフでは、明らかに提案アポイントから

クロージングのフェーズへの移行率が低く、

ここがボトルネックになっていると言えるだろう。

 

この例において提案⇒クロージングへのフェーズ移行率を

50%まで引き上げることに成功すればそれだけで

受注率は10%以上上がる。

 

つまり、この営業チームが6名で毎月1億売り上げていると仮定すると

年間で1.2億円、売上を向上させることができるわけである。

 

これをやらない手はないだろう。

 

しかしながら、”どうやって提案⇒クロージングのフェーズ移行率を10%も上げるのか”

という点がわからない方が多いのではないだろうか。

 

そこで、購買心理から逆算したアプローチで商談の中身を理解し、

このプロセス管理と紐づけて考えることにより改善が可能となる。

その内容は下記に記す。

 

購買心理から逆算したアプローチ 

これは、以前の記事にて掲載がある”商談のゴールデンスタンダード”である。

sales-scientist-nakatani.hatenablog.com

 

顧客側の心理として、

初めて営業と接触したタイミング~”買おう”と思う瞬間

までの心情の変遷がある。

 

この”心の動き”を理解し、どのように導くかを設計できれば

受注までのステップを”狙って”進めることができる。

下記のようにセールスステップと連動して考えれば、

どこで躓いたかが一目瞭然だ。

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つまり、これをプロセス管理と結び付けて考えると、

  • どこのフェーズ(ステップ)が課題で、
  • なにをすれば解決できるか

が明確になるというわけである。

例えば、下図のような相対表が作れる。

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これを組織の共通言語として浸透させ、常にプロセス指標を集計できていれば、

日本の工場での生産管理と全く同じでIoTで生産管理できている状態を

営業組織でも作り上げることが可能になるのである。

 

そうすれば、上記に挙げたような

受注率10%向上などは、当たり前にできる話となるのである。

(実際私もそうやってコンサルティング時に受注率を向上させている)

 

是非、勘や経験、根性などの営業は卒業し、

営業を科学し、”狙って(狙った通り)”売上を上げられるようになっていただきたい。

 

そうすれば、営業という仕事はより自由で、創造的な仕事となるはずだ。

ルート営業の実績マネジメント

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営業のコンサルティングSFAの導入を支援していると、

ルートセールスの営業実績マネジメントや売上拡大の施策立案に

悩みを抱えている企業は非常に多いと感じる。

 

IT系の企業や比較的新しい会社(ベンチャー)、B2B高額商材

などは新規営業の割合が多く、

大企業や設立からある程度年数が経った会社になるほど

既存のルートセールスの割合が増えていく。

 

新規の営業であれば最近で言うと”プロセス管理”や”パイプライン管理”

などの概念が比較的広まって来ており、

①見込み顧客

②アポイント獲得(テレアポ)

③初回面談(ヒアリング)

④提案(プレゼンテーション)

⑤クロージング

⑥受注

 

などの各プロセスに営業活動を細分化し、

漏斗のイメージで各フェーズの歩留まりを集計していくことによって

課題抽出をし、ベストプラクティスとの差分からカイゼン活動を

していくという手法はある程度広まってきたのではないだろうか。

 

一方で、ルートセールスにおけるマネジメント手法は

未だ画一的なものは広まっておらず、苦労されているマネ―ジャーも

非常に多いように思う。

(ルートセールスの方が施策の効果も見えずらいので定着しない背景もある)

 

まず、ルートセールスの売上を因数分解すると以下のようになる。

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このように、ターゲティング×活動量×商談の質である。(Willは一旦割愛。)

 

この、ルートセールスのマネジメントの方法は”顧客管理”が主になる。

・正しいターゲットに

・正しい回数

・高いクオリティで

アプローチすることが求められるのである。

 

ターゲティングではTierの概念などでランク(優先順位)付けし、

各ランク毎に1か月間で何回接触するかなどの行動量目標を設定し、

ロープレなどで質を担保しながら営業活動を行う。

 

しかしこれだとQualityの部分がブラックボックス化しやすいので

”面談”の中でも、

・関係構築

・ニーズヒアリング

・提案

・価格交渉

などの”中身”の部分を集計し、その割合を可視化する必要がある。

 

またこの管理をしていく際、ルートセールスの中でも、

”案件”という概念が必要になる。

 

ルートセールスというと『”案件”という概念はうちにはありません。』

という管理者は多いが、これが失敗の要因である。

 

定期的に顧客と接触し、関係構築を図りながら、

・新商品が発売されたタイミング

・顧客のニーズをキャッチしたタイミング

では、案件が発生し、新規営業と同じようにプロセス管理が有効になるのである。

 

なのでルート営業では、

・既存顧客からの新規案件発生数&率

・案件毎の進捗率

この2つを管理していくことで、新規営業と同じように

科学的に、狙って売り上げを上げる仕組みを作れるのである。

 

実際に自分がルートセールスの営業をやっていた際も、

このようなマネジメント手法は活用していたし、

それはコンサルティングでも変わらない。

 

もし、ルートセールスで営業の売上アップに悩んでいる

マネージャーの方がいたら是非ご相談いただきたい。

 

ニッチな提案を足掛かりとする

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営業マンというものはいつもに「今」の数字を追っている。

その中で最も重要な指標は売上額だろう。

 

しかし、常に近視眼的に売り上げ金額を追っていると、

長期的に見て機会損失を生じる場合は多い。

 

今回はタイトルにもあるように、

”ニッチな提案を足掛かりとする”営業手法だが、

これは上記の、短期的な売り上を最大化する方法ではない。

 

この目的は下記の二つである。

  1. 受注率の向上
  2. LTV(Life Time Value)の最大化

 

 つまり、初回契約時には少額の取引になったとしても

口座を作り、将来的には合計で多くの金額を

その顧客からただいくという考えである。

 

 1.受注率の向上

0か100かでの提案で失注されるなら当然売上はゼロになってしまう。

いつも100を狙っていると、失注した際のリスクは当然大きくなるので、

10〜20くらいの提案も持っておけば、100の受注ができなかった際にも

口座自体を取れないというリスクを抑えられる。

 

なにかしらのニーズがあり顧客は提案を受けているので、

0 =失注した際はコンペ負けで他社の安い提案に持っているというケースも多い。

そうすること、もう二度と提案チャンネルは来ないと思った方がいい。

 

なので、100の受注ができるなそうだと察知した場面で、

20くらいの代替案を出す状態としておくことが大事になる。

 

その際、単に安いプランを準備しておくのではなく、

途中で20のプランがベストだとしてロジックを用意し、提案するのである。

 

 「本当には100のプランでご契約いただいたのは山々ですが、御社の状況を考えてと○○という点で20のプランが最適かと思います」

 

 とした上で、時期感覚とやるべき事を明確にし、

「初期は3ヵ月でこれまでの状態に持っていき、その後半年掛けて全体に浸透してけば、、なので9か月後に100でやりましょう」というプロセスを売るのです。

 

その実際は特に、スモールスタートするためだけの20の提案をするのではなく、

できるだけ強みを尖らせ切った(他社にまねできない)20の提案をしよう。

 

その20と将来の100を繋ぐロジックを提案できれば、

他社は漬け込む余地がなくなる。

 

また最初から100で受注すると、契約がゴールになってしまえ、

営業側も顧客側も成果へのコミットメントが薄れる。

 

お互いにハッピーになる為に、

”これから一緒に成果創出していく”という状態で、

受注をスタートにすることができれば、

顧客のロイヤルティも高く維持したまま、継続的な取引になる。

 

こうして、金額が少なくても受注率を上げられれば、

自分のストックする既存顧客の件数は増え、

ターゲットリスト(かなり高い確度の案件)が増えることを意味する。 

 

 2. LTV(ライフタイムバリュー)の最大化

 上記のように、スモールスタートし、

一緒に成果創出に向けて取り組んでいると顧客のロイヤルティは高まるが、

この状態は「既存顧客」である。

 

 営業というのは一般的に新規顧客から得られる売り上げよりも

既存顧客から得られる売り上げの方が大きく、さらに

売上拡大する際の獲得コストも低い。

 

 つまり、一度受注することで、

そのタイミングではMaxの売り上げを期待できなくとも、

将来に対して種をまき、投資しているということ。

 

トップセールスなど既存顧客へのフォローはマメで上手く、

常に高い水準で既存顧客から売り上げを作り、

その上で新規を受注している。

 

既存顧客からの売上が大きいことは、

顧客満足度が高いことを意味しており、

顧客事例も豊富に溜まるので

”この人から買って損害はない”と新規顧客へのアプローチ材料にもなる。

 

 そうすることで顧客のLTVはどんどん膨れ上がり、

自分に個人的なファンが増える、

楽しくても自動的に売り上げが上がる仕組が構築される。

 

決めて、新規をないがしろにいしい話ではなく、

”とにかくホームランを狙わず、口座を作ることが大事”だという話である。

 

是非、一発フルスイングを狙いがちで、

継続的な売り上を作るのが苦手な営業の方は是非、

小さくても口座を作り、既存顧客を大事にした営業活動をしてみて欲しい。

 

ハーマンモデルで顧客を理解する

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今回はハーマンモデルのお話しである。

 

営業をするすべての人は、

"このお客さんとは話が合うな"、"この人苦手だな"と

感じたことがあるはずだ。

 

実際、誰とでも良好なコミュニケーションをとることは

非常に難しく、これを生まれながらにしてできる人は

天性の才能を持っていると言えるだろう。

 

ただ、営業マンはどんなタイプのお客さんからでも受注しないといけないし、

大口顧客のカウンターパートが苦手なタイプの人だということも

往々にしてあるだろう。

 

そんな時に非常に参考になるのが、このハーマンモデルだ。

(下記リンク参照)

www.herrmann.co.jp

 

人には思考のパターンがある。

性格というより、意思決定の際に出るクセともいえる。

 

 日本では営業が強い会社と言われるリクルートの提唱する

ソーシャルスタイルなどが有名であり、考え方は非常に近いが、

 ハーマンモデルはより脳科学や心理学に近い領域ともいえるだろう。

 

ハーマンモデルでは人の思考パターンを

赤・青・黄・緑の4パターンに分類し、

どのような意思決定をする人なのかを概ね見分けることができるので

性格診断と近いイメージで自分と顧客の性格を可視化できる。

 

正確には診断をしないとわからない部分もあるが、

一度自分で簡易診断をやってみたり、

仲のいい同僚にやってみてもらうことで

”やっぱり彼は赤だよね”などの納得感があるはずだ。

 

これにより、”あのお客さんは青っぽいよね”などがわかってくる。

ちなみに、各タイプを紹介するとざっくり以下の通りだ。

 

【赤】

・エモーショナル

・人間関係重視

・感覚派

 

【黄】

・ビジョン先行型

・アイデアが豊富

・冒険心溢れる

 

【青】

・論理的

・分析が得意

・じっくり考えるタイプ

 

【緑】

・計画的

・コツコツ粘り強い

・ミスをしない堅実タイプ

 

などである。なんとなく自分がどこに属すか当たりがついただろうか?

 

リンクを見ていただくとわかると思うが、

赤の両隣は緑と黄、黄の両隣は赤と青、

緑の両隣は赤と青、青の両隣は緑と黄となっている。

 

基本的に隣り合う色の要素を持ち合わせることは多いので、

完全に赤、というのではなく、黄色の要素をもった赤、なども存在する。

 

これを理解することで、例えば

・『このお客さんは赤っぽいから人間関係重視でアプローチしよう』

・『このお客さんは青っぽいから統計データを中心にプレゼンしよう』

・『このお客さんは黄っぽいからプロダクトビジョンで攻めよう』

・『このお客さんは緑っぽいから着実にリスクを一つ一つヒアリングして潰していこう』

 

などの攻め手を立案することができる。

これにより商談時の仮説の精度が高まり、

受注の確度が上がる。

 

実際に僕が製薬会社の営業のときに、

顧客ごとに提示するデータの内容などのアプローチを変えたり、

振る舞いでもポップな感じで接するお客さんと

ロジカルな感じで接するお客さんなどと使い分けていたりした。

 

こうすることで、全顧客と仲良くなれるかはわからないが、

全顧客に売れる、というアプローチをできると思うので

是非、実践してみていただきたい。

12年連続おみくじ大吉!

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みなさん明けましておめでとうございます。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

今年もやってきた、あの日が。

そう、初詣である。

 

今年は元日に明治神宮へ行ったが、

明治神宮のおみくじは"大吉"などのくくりがないものなので

改めて仕切り直して自宅近くの増上寺へ。

 

参拝し、今年一年の願い事をし、いざおみくじへ。

 

以前の記事に書いてあるように、

私はこの10年以上、毎年決まって大吉である。

(以下、参照)

sales-scientist-nakatani.hatenablog.com

 

今回で12年目。

今年もきっちり大吉を引いたので12年連続大吉である。

(ちゃんと一発で引きました)

 

だいたいの年は一発で引き当てるが、

そうでないときには2回でも3回でも引く。

 

おみくじの結果を信じるか信じないかではなく、

そんな小さなことでも自分事をコントロールできないのが嫌なのである。

 

みなさんも、是非どんな小さいことでも

自分の人生にオーナーシップを持つ癖をつけていってください。

 

それではみなさんの今年一年の益々の飛躍をお祈りしてこのあたりで。

 

【商談のゴールデンスタンダード】クロージング編

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【商談のゴールデンスタンダード】ステップ10、ラストはクロージングだ。

sales-scientist-nakatani.hatenablog.com

 

 

商談において、クロージングこそが大事だ、と思う方も多いかと思うが、

私はそうは思わない。

 

クロージングは顧客の購買を後押しするものだが、

クロージングが強すぎれば、顧客は"無理をして買う"ということになりかねない。

 

つまり、無理をして買う結果、顧客はその先に幸せになれない確率が上がるのである。

 

なので、クロージングまでの9つのステップで勝負を決め、

クロージング段階では顧客側から「これ、買います」と能動的に

クローズするのが理想である。

 

ただ、そうは言ってもしっかり背中を押してあげないと一歩を

踏み出せない顧客もいるのでクロージングは必要である。

 

そんなときのクロージングの極意は、

①改めて「この商品いいな」と思っていただくこと

②感情として「買いたい」と改めて思っていただくこと

この二点だ。

 

これは、ここまでの9ステップで既出の通りである。

 

なので、このクロージング段階では

商談のリマインドの要素が強くなる。

 

①商品についてのメリット/デメリットを振り返りお伝えし、

 デメリットに関してはその解消法をお伝えすることで安心を提供する。

 ⇒購入は合理的な判断であることをリマインドする。

 

②純粋に自分が"人として"その顧客の"役に立ちたい"、

 "買って貰うことで価値を提供できる"という思いをぶつける。

 ⇒この段階では信頼関係ができている状態なので、その"想い"に

  共感されたり、それがうれしかったりする。

 

この二点、二つの異なるアプローチを、

商談を振り返りながら行うことで、一歩を踏み出す勇気を

顧客に持たせてあげることができれば、

その顧客との関係性はその先も継続し

また次のビジネスチャンスにもなり得る。

 

商談の最後に、「会えてよかった」と思われている状態で

契約に至っていることが、理想的な受注のし方である。

 

繰り返しになるが、"ハードクロージング"で無理やり受注することは

誰も幸せにしない、最低な売り方になる。

 

プロの営業マンは、人を幸せにする存在でなければならない。

 

それを念頭に置き、この【商談のゴールデンスタンダード】を実行することで

受注確率は上がり、その先にも既存顧客からの紹介で新たな

ビジネスチャンスが生まれたり、有益な情報が集まってきたりと

自分にとってもメリットが多くあるはずだ。