【商談のゴールデンスタンダード】イメージ喚起編
【商談のゴールデンスタンダード】ステップ9は"イメージ喚起"である。
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いよいよ大詰めだ。
ステップ8の差別化まで到達すれば、ほとんど顧客の中で
"どの商品にするか"というのは決まっている。
ただ、ここで安心するべからず。
最大の敵は競合ではなく、"買わない"という選択肢だからだ。
「欲しくて仕方ない」という場合を除き、
顧客は当然、出費がゼロ(ないしは少ない)状態がベストなのである。
なので、営業は”背中を押してあげる”というアプローチが最後に
重要になってくるのだ。
ここまでで、顧客から信頼を獲得し、商品の魅力も伝えてきたはずだ。
そして最後に、買わない理由をなくすために”イメージ喚起”をするのである。
イメージ喚起とは、
実際に購入後にどのような使い方をし、どのようなメリットがあり、
どのような未来が実現できるのか、という部分をイメージさせてあげることである。
ここまで来ると商談も大詰めなので、
序盤でヒアリングした課題感や要望をサマライズし、
「こういうの(ヒアリングした現状)って大変ですよね~、でもこの商品があれば、こんな風に楽になりますよね。そしたら、浮いた時間(お金)で何がしたいですか?(この商品を使ってどんなことがしたいですか?や、どこに持っていきたいですか?など)」という、
“買う前提”で未来を想像させる質問をしたり、
明るい未来を提示してあげたりする。
そうすることによって、
"機能"や"価格"などの条件で商品選びをする思考から解放され、
純粋に「欲しい」という"感情"へシフトさせることができる。
これが”買わない理由”というハードルを越えるために
"条件"⇒"感情"へのシフトを促すアプローチである。
あと一歩のところで失注してしまうクロージングの弱い営業マンは
決して"ゴリゴリ詰めていく"アプローチを無理にしなくても、
これができるようになればクロージングの成功率はぐっと上がるはずなので
是非試してみてほしい。
【商談のゴールデンスタンダード】差別化編
【商談のゴールデンスタンダード】ステップ8は、"差別化"である。
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顧客は何かしらの購買活動にあたって、
常にある一定の価値基準に則って商品を選んでいる。
その基準に則って競合商品との区別を行い、
自社商品の優位性を伝えることが"差別化"と言える。
ステップ7のアンカリングにて、
自社商品に有利になるように判断基準を刷り込んだのちに、
その判断基準において自社商品が競合と比較し
優れていることを伝える。
これでほとんど勝負は決するだろう。
多くの営業マンは、アンカリングが掛かっていない状態で
差別化をしようとしてしまうので落とし穴にハマり、
結果、提案が顧客に刺さらないのである。
(前回の記事に記載の通り)
つまりアンカリングは差別化(自社品の強みとなるポイント)から
逆算されたものなので、"どのポイントで差別化するか"が重要となる。
差別化するべきポイントはあくまで競合と比較された際に
"勝てるポイント"なので、”ウリにしたい特徴”とは必ずしも一致しないので
ここは注意が必要だ。
この差別化すべきポイントを間違えると、
アンカリングが掛かっているのにもかかわらず提案が刺さらない、
ということが起こる。
ここで差別化ポイントの正しい見つけ方は、
①自社商品のユニークなポイントを棚卸する
⇒商品を構造的に捉え、外観、内容物、機能・性能、価格、
アフターサービス、販売企業、etc..などの観点から
それぞれストロングポイントを洗い出す。
②競合企業・商品を把握する
⇒Webで調べたり顧客にヒアリングするなどして、
自社品を検討される際に他に検討されている商品をリストアップする。
③縦軸に強み、横軸に競合を並べ、勝てるポイントを探す
⇒"強み①"は競合A社、B社、C社と比較しても、勝てるポイントなのか?
〇×を付ける。これを全強み項目に対し行う。
④全競合に対し勝てるポイントがあればそれを中心にアンカリングトークを作成する。
⇒全競合に勝てるポイントがなければ、競合Aに対してはこの強みを推していく、
競合Bに対してはこの強みを推していく、などの戦略を立てる。
この全4ステップを実行するだけで、
飛躍的に競合負けが減るだろう。
この強みから逆算した際のアンカリングの作り方に関しては
前記事にて記載しておりますのでご参考にしてみてください。
【商談のゴールデンスタンダード】アンカリング編
【商談のゴールデンスタンダード】ステップ7はアンカリングだ。
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アンカリングという言葉に聞き覚えのある人はあまり多くないと思うが
これは商談における最大の武器であり
営業の腕の見せ所になる。
一言で説明すると、
"お客さんが商品を選択する際の判断基準を設定すること"である。
これは詐欺師のマインドコントロールに似た手段なので悪用厳禁である。
多くの商品の中から自社商品を選んでもらうにあたって、
様々な選択基準がある。
一本の水を買うにも、なんとなく買う人は多いが
価格か、デザインなのか、内容量なのか、機能性なのか、
何かしらの選択基準がある。
その、"選択基準"をコントロールしなければ、
『この水は安いですよ。買ってください。』
と言ったところで、
『いや、機能性いまいちじゃん』と
別の選択基準で断られてしまう。
一方、『水選びの基準って、やっぱり機能性ですよね』と
商談中に合意していれば、機能性で選んでもらえる。
これを実施するにはまず、自社商品と他社品の差別化ポイントを明確にすることだ。
注意すべきは、
ウリにしたい点≠強み ではないことだ。
多くの営業マンが陥ることだが、
『うちの商品はおしゃれだ』というポイントをウリにしていても、
他社品の方がおしゃれだということは多々ある。
このポイントでアンカリングを掛けると、
『おしゃれな商品を選ぼう』⇒『じゃあ競合Aの商品がいいよね』と
なってしまう。
徹底的に自社品と他社品の強みと弱みを洗い出し、
“勝てるポイント”でアンカリングを設定することが必要になる。
強みから逆算したアンカリングだ。
また、アンカリングを掛ける際には、ステップ2の
"プロとしての信頼"を獲得できていないと刺さらないので要注意。
中立的かつ専門的な知識で顧客との間に情報格差を取り、
『この人の言うことなら信頼できる』というポジションを
確立できていれば、
『水選びのポイントは機能性ですよ』⇒『たしかに』と
アンカリングを掛けることができるのだ。
そのうえで、根拠を持って
①○○(理由・根拠)だから
②●●の基準で選ぶべき
というトーク仕立てにするとアンカリングが掛かる。
(顧客を、自社品が有利な基準での商品選びに誘導することができる)
なので、先ほどの水の例では
①水ってどれもほとんど変わらないですよねー
②でも水をよく飲む人って健康のために飲みますよね
③なんかCMとかでおしゃれなイメージの水とかもありますけど、
100円払って水飲むのであれば、健康になれるものがいいですよね
④水で健康になるには、実は"マグネシウムの含有量"がポイントなんですよ
⑤なぜなら人間の体は~~(根拠となるデータを示す)
⑥森の水とか、海外の水とか、海の水とかいろいろありますけど、
最終的にはマグネシウム含有量で判断すれば間違いないですよ
とトーク展開すればお客さんは"水選びはマグネシウム含有量が大事"と
刷り込まれるのである。
(本当にマグネシウムが大事かは私は知らないが)
このようにどんな商品であっても、
どんなに小さなポイントであっても自社に有利なように
アンカリングを掛けて自社有利に商談を進めることは可能である。
これが営業マンの腕の見せ所である。
このアンカリングを自在に操る能力を備えれば、
どんな業界のどんな商品でも、再現性を持ってハイパフォーマーに
なることは可能になるので是非習得していただきたい。
【商談のゴールデンスタンダード】オブジェクションハンドリング編
『商談のゴールデンスタンダード』ステップ6は“オブジェクションハンドリング”だ。
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“オブジェクションハンドリング”とは、
顧客の否定的な反応(反論)をいなす術である。
大概の顧客は「営業に言いくるめられたくない」という心理から、
その商品やサービスの穴を突く質問を投げかけてくる。
近年はWebの発達に伴い、
商談の事前にその商品やサービスについて情報収集していることが多く、
的確に弱みを突いてくることが多い。
これをうまくハンドリングできなければ致命傷となり、
「やっぱりこの商品ではだめだ、他の商品にしよう」となる。
一方、Webに情報が転がっているからこそ、
ある程度そのオブジェクションは
予測可能なものとなるのである。
事前に突っ込まれそうなオブジェクションは洗い出し、
それに対しハンドリングするためのトークスクリプトを用意しておくと良いだろう。
なお、その際のポイントは、
"こちらは反論しない"ということだ。
多くの営業マンは、事前に顧客の反論を想定できておらず、
オブジェクションに対し、
「いや、そうじゃないです」と反論してしまう。
顧客は、営業マンに言い返されてうれしいことは一つもない。
ここが気を付けなければならないポイントだ。
事前に想定し、”質問で誘導する”ことが必要なのである。
オブジェクションに対し、
導きたいアンサーを設定し、
・なぜそう思ったのですか?
・確かにそういった考えもできますね。
・ではほかの切り口で考えるとどうでしょう?
・あなたの最も解決したい課題は○○ですよね?
・では解決策AとBどちらが最適でしょうか?
・全てを叶えようとするとどういった問題が発生すると思いますか?
などの質問で、誘導していくのである。
顧客が最も腹落ちする瞬間は、"自分で気づいたとき"だからだ。
Why やオープンクエスチョン/クローズドクエスチョンを織り交ぜながら、
顧客に気づいてもらえるよう、
ハンドリングトークを設計していこう。
そうすれば、顧客の身障を害することなく、
自社商品へと導いていけるようになるはずだ。
【商談のゴールデンスタンダード】期待値調整編
『商談のゴールデンスタンダード』ステップ5は "期待値調整"である。
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ステップ1~4で顧客から信頼され、かつニーズを発見/創出すると、
顧客の期待値は上がる。
この期待値を調整できなければ、
結局“御社の商品では課題解決できないのね”と、
逆に失注理由にもなりかねない。
だからこそこのタイミングでの期待値調整が必要になるのである。
一旦、ここまでで洗い出したニーズを整理し、
その中で肝となるベイビーステップを定義してあげることで
顧客のニーズを営業マン主導で定義付けるのである。
ステップとしては、
①~こういう課題があるんですね
②それってつまり、こういうことですよね?根本課題は○○です。
③なぜなら、○○だからです。
④これを解決すると、このようにメリットがあります。
⑤ただ、その先にはこういう課題が新たに出てきますがこのように解決しましょう。
といったように、
会話の主導権を握り、引き続きプロのポジションを確保したまま
顧客をナビゲートする。
論拠とメリット、そして未来への展望を示すことで
顧客は営業を信じた状態で"Yes"とう頷くこととなる。
ただ、その際には顧客の言うことを正しく聞くヒアリング力、
顧客の意見をまとめる理解力、サマリー力、
そして経験や知識に裏付けされた論拠を持たなければこれは即座に実行することができない。
一方、これができれば顧客からの信頼は揺るがず、
顧客をコントロールするための基礎となる。
顧客の要望というものは、コントロールに失敗すると
”あれもこれも”となり、とめどなく溢れ出てくるので、
この段階でしっかり押さえておくことがポイントとなる。
是非、上記のフローに合わせて実施してみてほしい。
【商談のゴールデンスタンダード】問題点特定編
ビジョン共有の次なるステップ(ステップ4)が問題点特定である。
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ビジョン共有と問題点特定の2ステップを合わせて、
"ニーズ把握"と定義する。
多くの場合、ニーズ把握はこの問題点特定だけのことを
指すケースが多いが、問題点特定のみだと
・顧客が自分で自分の問題点を把握しているケース
・顧客が現状に満足してしまっているケース
などにおいては、問題点特定のヒアリングが
退屈で時間の無駄に感じられかねない。
『いや、知ってるし。』と思われてしまうのである。
なのでそうならないよう、
前段階で大きな話をして顧客の視座を上げて
現状とのGAPを大きく見せてから道を示してあげることで
現状の問題点や課題が浮き彫りになり
それが腹落ちするようになる。
なので、ビジョン共有⇒問題点特定という
流れを作ることが大事になるのである。
特に、商談の相手が経営者クラスになればなるほど
この流れは重要になり、
ビジョン(経営)から逆算した課題として認識していただくことで
その後の提案の刺さり方が大きく変わってくる。
このような流れを作ることによって、
ただのヒアリングだと思われがちな"ニーズ把握"という
ステップにおいても商談の主導権を握り、
顧客を誘導できる【ナビゲーションセールス】が実現する。
【商談のゴールデンスタンダード】ビジョン共有編
商談のゴールデンスタンダード、
ステップ3はビジョン共有である。
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ステップ1,2で顧客との信頼関係を構築した後、
互いのビジョンを共有するステップを設ける。
これは、自分のビジョン、会社(プロダクト)のビジョン、
そして顧客のビジョンを聞き出すことである。
その仕事を通じて何を成し遂げたいのか、
どうなりたいのか、という夢である。
これはある意味関係性構築とも近しいのだが、
互いに思いに共感することで仲間意識が芽生える。
自分のビジョンでは視座の高さを示し、
プロとしてのポジションをより強固にする。
顧客のビジョンでは、
現状とビジョンの間にギャップを見出し、
その差分をニーズとして炙り出す。
通常、顧客ニーズを把握する際には
問題点を聞き出し、その足りていないポイントを把握する。
その数々ある問題点の中から、クリティカルなものを見極め、
課題として認識、提示する。
しかし、これが問題点の把握だけであると、
顧客の視座が低かった場合、
As-IsとTo-Beの差分が小さかった場合、
プロダクトの提供価値が小さく見えてしまう可能性がある。
その為、より大きなビジョンを描き、
現状との差分を大きく見せることでニーズを
洗い出すことが重要になる。
これは、特にB2Bであると
(且つ、顧客カウンターパートがアッパー層になればなるほど)
重要度を増す。
この好感獲得~ビジョン共有までのステップを
商談の冒頭に完遂できれば、その後の商談で
大崩れするリスクは大きく低減するので、
アプローチブックの一部として組み込んでおくことをお薦めする。