sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

ソリューション営業からインサイト営業へ

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近年、ソリューション営業(課題解決型)は終焉を迎え、インサイト営業(課題発掘型)の時代へ突入している。


最新の営業手法はインサイト営業(インサイトセールス)である、と様々なところで話題となっている。

たしかにこの概念自体は新しいかもしれない。しかし、本質的には何も新しくなく、多くのトップッセールスはこの手法によって圧倒的な実績を築いてきたのでは無いだろうか。

インサイト営業とはどのような手法かというと、言葉の意のごとく、まだ表面化していない顧客の意識を読み解いていく営業スタイルである。


一方、ソリューション営業とは、顧客のニーズに合致した製品(ソリューション)を提案していく営業の事である。

かつてのプッシュ型(押し売り)営業の時代が終わり、ソリューション営業の時代が来た。
これは、顧客のニーズを正しく把握しなければ顧客は振り向いてくれないと言うことの表れである。

 

それからまもなくし、欲しい物はほとんどインターネットで調査し、自分で自分のニーズに合致した物を見つけ、ネット上で変える時代が来てしまった。

すると、ソリューション営業のような、「顕在化しているニーズ」を満たすような営業などもはや不必要となってしまう。

 

こうして世界の営業マンは少しずつだが確実にテクノロジーに置き換わられ、数を減らしていくだろう。
このIT化の驚異におびえている営業マンも多いのでは無いだろうか。

 

この、テクノロジーに置き換わられない営業マンが、インサイト営業をできる人間である。

インサイト営業では顧客の「まだ顕在化していない=潜在的なニーズ」を発掘し、「顧客と共に、あるべき姿へと歩むパートナー」となれるのである。

 

まだ自分でも気付けていなかったことを教えて貰い、新たな視界が開けたとき、顧客の心は動く。
気持ちは高揚し、相手を信頼する。これをできるのがインサイト営業を実施できる営業マンであり、
絶対にテクノロジーには置き換えられない人間ならではの心の通ったビジネスなのである。

 

これからの時代に営業職として生き残りたければ、「潜在的なニーズ」を掘り当て、解決できる存在であり続ける事である。

 

その為には、優れたリサーチ力と分析力、仮説構築力、質問力が必要となる。
この、インサイト営業のエッセンスについてはまた別の項で触れよう。

営業におけるPDCAのかたち

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営業するにおいてもPDCAサイクルの活用は有効です。
しかし、PDCAだけではだめです。

一番大事なのは、【事前準備】です。
僕の考えるサイクルは、"R-PDCA"です。
"R"はReserch、すなわち調査(情報収集)です。
 
営業トークというのは「商品の良さを説明して買ってもらう事」ではありません。
これだと将来、AIやロボットに代替されてしまいます。
商談は、常にその顧客に合わせてオーダーメイドされたものでなければならないのです。

ですから、"R"で入念に情報収集を行う必要があります。
 
なぜなら、中谷流のPDCAの解釈はこうだからです。
 
 
"P":Plan
計画であると同時にこれは【仮説】です。
手持ちの情報をもとに、「こうしたら成功するかな」という仮説を構築します。
 
"D":Do
一般には、「計画の実行」と言われますがこれは「仮説の検証」です。
仮説もとに"トライアルクローズ"します。
一度、サラッと「買いませんか」という流れを作るのです。
 
"C":Check
一般には「評価」と言われます。
トライアルクローズにて検証し、満たせていなかったニーズを洗い出す作業となります。
トライアルクローズの段階では顧客もニーズを満たしきれていないことが多く、断られます。
その、「断った理由」の中に、【真のニーズ】が秘められている可能性が高いのです。
そのニーズが何なのかを徹底的に深堀りし発掘しましょう。
 
"A":Action
PDCで掴んだ【真のニーズ】の解決策を構築し提示します。
この解決策を提示することで商談の成約率は飛躍的に上がります。
 
一度の商談の中でこのフローを全て実行します。

そのため、いかに商談前に精度の高い仮説を立てられているかが勝敗の分かれ目となります。
事前情報の量が多く質が高いほど、仮説の精度は上がります。

なので、PDCAサイクルを少ない回数の回転で済ませるために"R=Reserch"がキモとなるのです。
 
徹底的に顧客や業界等の情報、ニュースを調べ上げ、仮説構築に注力しましょう。

営業力は人間力

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営業で成果を上げる為に一番大事なことは人間力だと思っています。
自分自身そう思いますし、トップセールスはほとんど皆同じように思っているのではないでしょうか。
 
では、"人間力"とはいったいなにか?
ここでは、【人間としての本質的、総合的な魅力】と定義します。
 
この定義自体が抽象的であるように、"これができれば人間力が高い"と言えるようなものではありません。
また、人によって人間力の高さ、というものの感じ方も様々です。
 
だからこそ伸ばすことも、意識することも難しく、多くの営業マンは「人間力って言ってもねぇ、、、」と思っているのではないでしょうか。
ただ、"人間力"こそが、最もその人の価値観や人生観を反映するコアスキルです。
 
正解はないので、いくつか例を挙げてみます。
 
・人生を楽しむ、人生に明確なビジョンがある
・自分の仕事、人生、自分自身に誇りを持つ
・人やモノについて幅広い知識と興味がある
・謙虚でポジティブである
・向上心の強さ
・高い教養
・高いコミュニケーションスキル
・気遣い、思いやり
 
ざっと、「これを兼ね備えた営業マンは売れるだろうな」という人間力の例を挙げてみました。
 
一番大事なのは、"信念を持って、人に誇れるような生き方をする"というということです。
上記のいくつかに共通していることです。
 
営業マンとして顧客と対峙するとき、商品の前に"自分"を売れなければ契約はなかなか取れません。
よく聞く言葉かもしれませんが、「自分を売れないやつは商品も売れない」のです。
 
なので、一番手っ取り早いのは"誰よりも人生を楽しむこと"です。
楽しそうに生きている人の周りには人が寄ってきますし、顧客も興味を持ち、憧れるか、共感してくれます。
Live my life. です。
 
一概に"楽しむ"といっても、好きな事ばかりをすればいいわけではありません。
自分と向き合い、仕事もプライベートも全力、これが一番です。
 
そして自分のビジョンや夢を語り、そのために今この仕事で何を成し遂げたいか、顧客
と積極的に共有しましょう。
そして顧客の夢やビジョンを聞いて、語り合いましょう。そうすると、自然と尊敬や共感が生まれます。
 
ただ、もちろん、夢を語るには全力で仕事と自分の人生に向き合っていなければ意味がありませんよね。
それが難しいのです。
 
自分はそうやって顧客と夢やビジョンを共有し、信頼関係を築いてご契約をいただいたことが多々ありました。
 
価値観を共有し、顧客が"仲間"となったとき、その先に商談の成功が待っています。
 

営業で成功するために一番大事なスキル

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営業職で成功する為に一番大事なスキルについて、考えてみたいと思います。
 
業務を遂行する上でのスキル、というと一般的には二つに分けられるかと思います。
 
・Human skill
・Techenical skill
 
です。簡単に言うと、人間力と技術力です。
 
しかし、"営業"におけるスキルでは、この上記二点は密接な関係にあります。
人は、気に入った人間でないと購買意欲が湧かないことも多く、人間力も"技術"のうちです。
 
すなわち、営業ができるかできないかは、技術の問題でしかありません。
誰でもできるようになります。
しかし、付け焼刃の技術では直ぐにボロが出ます。
そんなに甘い顧客はそうそういないでしょう。
 
そこで大事になるのが、"考える技術"です。
どのような状況になろうとも、考える技術を持っていれば、その状況に応じた最適な判断をできます。
言うなれば、自分で正解を見つける能力です。
 
そのような技術はなかなか会社では教えてもらえません。
例えば、
 
・会う顧客によって服装や態度、言葉、話す内容のチョイスを変える
・天候によって訪問ルートを変更する
・時期によって提案する内容を変える
 
などです。
 
会社からの指示を鵜呑みにして誰にでもできる仕事をしてはいないでしょうか。
常に常識を疑い、"こうしたら、相手はどう感じるだろうか"と考えることが大事です。
 
一つ、エピソードを挙げます。
私が製薬会社で開業医(クリニック)を訪問し営業していた際、
人気のクリニックで患者さんが途絶えず、訪問してもなかなか面会(商談)してもらえないお客さんがいました。
 
僕はこうしました。
 
・雨や雪が降ると必ず訪問する
→天候が崩れると、「まあ、今日は天気が悪いから明日でいいか」と客足(患者さん)が遠のく為、空くので会いやすい。
・天気が悪いから訪問した旨、顧客に敢えて伝える
→相手は「わざわざこんな時に有り難う」という気持ちになる上、「でもなぜ敢えてこんな日に?」と疑問に思う。
・「いつもお忙しいので、こういう日が一番お邪魔にならないかと。」と伝える
→"自分は大事にされているんだ。自分のことをいつも気遣ってくれている"と感じ、好意を持っていただける。
上記を繰り返す
→"雨が降ったからあいつがくる"と無意識に刷り込まれる。気に入られる。
→商談がスムーズに進む。
→売上が上がりやすくなる。
 
このように、誰にでも想像できる単純な事でしたが、当たり前のような些細な事でも考えて動ける営業マンは非常に少ないと思います。
 
これを「このくらい知っていたから、自分もやっていた」では意味がありません。
 
どんなに小さいことでも自分の頭で、考え、積み重ねる事が大事です。

いかにしてトップセールスになったか

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僕は平凡な営業マンでした。
最初は顧客と商談をしてもろくに話せず、どもったり、自信のなさを露呈し契約など全く取れませんでした。
 
僕がビリからトップセールスになるまでには3度のブレイクスルーがありました。
 
①圧倒的な知識で絶対的な自信を持つこと
②意図的に仕事量を絞り、小さな範囲で成功体験を積むこと
③周囲の協力を最大限活用する事
 
この3つです。
 
 
①圧倒的な知識で絶対的な自信を持つこと
 
着任時、全く売れない原因を考えました。
そこで「人と話すのが苦手なわけではないのに何故、商談では喋れなくなってしまうのだろう」と疑問に思いました。
医師という高度な知識を持つ顧客に対し、専門的知識に劣る自分が「買ってください」なんて言えるわけない。と思いました。
 
相手を納得させられる自信がないのに、自信をもってお勧めする事なんてできません。
ましてや、一つでも反論されたらハンドリングできずに自分の知識のなさを露呈してしまうので、怖くて話せません。
 
医師はプライドも高い方が多いので、知識のない営業マンのいう事なんて鵜呑みにするわけがないのです。
「だったら、医師さえも上回る知識をつけたら、売れるんじゃないか」と仮説を立てました。
 
当然その仮説は当たりました。
医師さえも未だ知りえない海外で発表された論文を毎日読み漁り勉強し、情報提供していると、話を聞いてもらえるようになるどころか、逆に医師から質問されるようになったのです。
 
すると、信頼も増し、次第に売れるようになっていきました。
当たり前の話ですが、営業のベースは圧倒的な専門知識です。
 

②意図的に仕事量を絞り、小さな範囲で成功体験を積むこと
 
ある程度売れるようにはなっても、まだまだ平凡(中の上程度)でした。
そこで、A~Eまである商品の中で、「Aだけに注力して売る」ということをしました。
まんべんなく力を入れても、当時の自分の能力では圧倒的な実績は出せないと判断したからです。
 
"Aだけ"であればA~Eを打っている他営業マンの5倍集中できるはずです。
これを実践すると、「こうやったら売れるんだな」というのが経験で分かるようになりました。
 
そのAという商品では計画値の300%以上の実績を残すことができました。
この経験をもとに、他のB~Eの商品でも同じ手法で実績を伸ばせるようになりました。

営業に限った話ではありませんが、"成功体験"こそが成長を加速させるのです。
 

③周囲の協力を最大限活用する事
 
①~②を経て、周囲から「彼は優秀だ」と言われるようになりました。
それでもまだ、圧倒的No.1ではありませんでした。
そこでまた、何が自分に足りないのかを考えました。
 
周囲には、「こいつには勝てない」と思う営業マンもたくさんいました。僕はもともと平凡な営業マンでしたので。
なので、自分自身の能力だけで勝てないのなら、周りの人の力を借りよう!と思いました。
 
・上司の力を使う
・代理店営業マンとの結託
・顧客から他の顧客への口コミ作戦
 
これらを実践し、様々な角度からのアプローチをするようになりました。
すると、それまででは考えられないほどスムーズに契約が取れるようになりました。
 
自分自身の仕事量も減り、"他人より楽をして他人より実績をあげる"ことができるようになりました。
 
こうして遂に3年目の終盤で初のトップセールスになりました。
人より苦労している分、アドバイスできることは多いのではないかと思います。
 
①~③の具体的手法に関しては、"営業スキル"の記事に記載します。

地方創生への関わり方

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今、盛んに地方創生が叫ばれています。
今の日本では地方経済の低迷、そして人口流出が止まらない。

これを解決するに当たり、地方創生の本質は二つしかないとか考えています。
それは、

・人口増加
・雇用の創出
 
です。これに集約されるように思います。
 
この二つは別物ではなく、雇用が創出されると人口の増加にもつながります。
では、どのように雇用を創出するか。それは、その土地の企業が儲けることです。
そのためには、モノが売れる仕組みを作ればよいのです。少々乱暴ですが、これが手っ取り早い策ではないでしょうか。
 
【モノが売れる→企業が儲かる→納税が増加&雇用創出→街が潤う&人口増加→消費の増加→よりモノが売れる】

といったサイクルを生むのです。
ただ、これが難しいのです。
 
難しいとはいえ、テコ入れの余地は十分にあります。
僕のやろうとしていることは地方企業の営業コンサルティングです。
上記サイクルのきっかけになりたいと思っています。
 
なにしろ日本で一番人口の多い職種が営業職ですのでここにアプローチしていきます。
 
日本の営業マン・営業組織が成長すれば、日本経済が成長します。

富山県への思い

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僕は東京都出身です。
新卒で入社した外資系の製薬会社で初任地が富山県となり、3年間富山県に住みました。
 
それまでの価値観は、「お金がほしい。女性にモテたい。」それくらいしかありませんでした。
渋谷や六本木の夜が大好きでした。(今も好きでなくなったわけではありませんが。)
キラキラした街で羽振り良く遊ぶ事だけが自分の中での成功像であり、それが幸せの形だと思っていました。
 
しかし富山県で3年間暮らし、その考えは180度変わりました。
 
夏には毎週のように自然の中でBBQをし、冬にも毎週のようにスノーボードへ行き、時には海釣り、渓流釣りを楽しみ、
ドライブをしては四季を感じ、美味しい魚と日本酒に舌鼓を打つ。
駅前に飲みに出れば飲み屋の店員さんたちと仲良くなり、地元の人たちとも仲良くなりました。
 
その土地に暮らしていることを実感でき、居心地がいい。
今まで育った環境とは、人との関わり方の違いも実感しました。
より人間らしい、背伸びをしない、ありのままの幸せの形を見つけられた気がします。
僕はそんな富山県が好きになりました。
 
しかし、大きな欠点にも気付きました。
 
①良いものがあるのに売り方やプロモーションのし方が下手すぎる。
②現状に満足し、向上心のない人が多い。
 
この二点です。
非常に"もったいない"と感じました。
 
今のままでいい、と感じる人にとっては余計なおせっかいかもしれません。
でも、"もっともっと幸せになってほしい。もっと自分の思う生き方を実現してほしい。"そう思います。
 
このような課題はおそらく、富山県に限った話ではなく日本全国の地方で起こっていることだと思います。
だからこそ、もっと日本の地方にスポットライトを当てたい。もっと地方から発信し、日本を良くしたい。と思っています。