sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

営業で成功するために一番大事なスキル

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営業職で成功する為に一番大事なスキルについて、考えてみたいと思います。
 
業務を遂行する上でのスキル、というと一般的には二つに分けられるかと思います。
 
・Human skill
・Techenical skill
 
です。簡単に言うと、人間力と技術力です。
 
しかし、"営業"におけるスキルでは、この上記二点は密接な関係にあります。
人は、気に入った人間でないと購買意欲が湧かないことも多く、人間力も"技術"のうちです。
 
すなわち、営業ができるかできないかは、技術の問題でしかありません。
誰でもできるようになります。
しかし、付け焼刃の技術では直ぐにボロが出ます。
そんなに甘い顧客はそうそういないでしょう。
 
そこで大事になるのが、"考える技術"です。
どのような状況になろうとも、考える技術を持っていれば、その状況に応じた最適な判断をできます。
言うなれば、自分で正解を見つける能力です。
 
そのような技術はなかなか会社では教えてもらえません。
例えば、
 
・会う顧客によって服装や態度、言葉、話す内容のチョイスを変える
・天候によって訪問ルートを変更する
・時期によって提案する内容を変える
 
などです。
 
会社からの指示を鵜呑みにして誰にでもできる仕事をしてはいないでしょうか。
常に常識を疑い、"こうしたら、相手はどう感じるだろうか"と考えることが大事です。
 
一つ、エピソードを挙げます。
私が製薬会社で開業医(クリニック)を訪問し営業していた際、
人気のクリニックで患者さんが途絶えず、訪問してもなかなか面会(商談)してもらえないお客さんがいました。
 
僕はこうしました。
 
・雨や雪が降ると必ず訪問する
→天候が崩れると、「まあ、今日は天気が悪いから明日でいいか」と客足(患者さん)が遠のく為、空くので会いやすい。
・天気が悪いから訪問した旨、顧客に敢えて伝える
→相手は「わざわざこんな時に有り難う」という気持ちになる上、「でもなぜ敢えてこんな日に?」と疑問に思う。
・「いつもお忙しいので、こういう日が一番お邪魔にならないかと。」と伝える
→"自分は大事にされているんだ。自分のことをいつも気遣ってくれている"と感じ、好意を持っていただける。
上記を繰り返す
→"雨が降ったからあいつがくる"と無意識に刷り込まれる。気に入られる。
→商談がスムーズに進む。
→売上が上がりやすくなる。
 
このように、誰にでも想像できる単純な事でしたが、当たり前のような些細な事でも考えて動ける営業マンは非常に少ないと思います。
 
これを「このくらい知っていたから、自分もやっていた」では意味がありません。
 
どんなに小さいことでも自分の頭で、考え、積み重ねる事が大事です。

いかにしてトップセールスになったか

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僕は平凡な営業マンでした。
最初は顧客と商談をしてもろくに話せず、どもったり、自信のなさを露呈し契約など全く取れませんでした。
 
僕がビリからトップセールスになるまでには3度のブレイクスルーがありました。
 
①圧倒的な知識で絶対的な自信を持つこと
②意図的に仕事量を絞り、小さな範囲で成功体験を積むこと
③周囲の協力を最大限活用する事
 
この3つです。
 
 
①圧倒的な知識で絶対的な自信を持つこと
 
着任時、全く売れない原因を考えました。
そこで「人と話すのが苦手なわけではないのに何故、商談では喋れなくなってしまうのだろう」と疑問に思いました。
医師という高度な知識を持つ顧客に対し、専門的知識に劣る自分が「買ってください」なんて言えるわけない。と思いました。
 
相手を納得させられる自信がないのに、自信をもってお勧めする事なんてできません。
ましてや、一つでも反論されたらハンドリングできずに自分の知識のなさを露呈してしまうので、怖くて話せません。
 
医師はプライドも高い方が多いので、知識のない営業マンのいう事なんて鵜呑みにするわけがないのです。
「だったら、医師さえも上回る知識をつけたら、売れるんじゃないか」と仮説を立てました。
 
当然その仮説は当たりました。
医師さえも未だ知りえない海外で発表された論文を毎日読み漁り勉強し、情報提供していると、話を聞いてもらえるようになるどころか、逆に医師から質問されるようになったのです。
 
すると、信頼も増し、次第に売れるようになっていきました。
当たり前の話ですが、営業のベースは圧倒的な専門知識です。
 

②意図的に仕事量を絞り、小さな範囲で成功体験を積むこと
 
ある程度売れるようにはなっても、まだまだ平凡(中の上程度)でした。
そこで、A~Eまである商品の中で、「Aだけに注力して売る」ということをしました。
まんべんなく力を入れても、当時の自分の能力では圧倒的な実績は出せないと判断したからです。
 
"Aだけ"であればA~Eを打っている他営業マンの5倍集中できるはずです。
これを実践すると、「こうやったら売れるんだな」というのが経験で分かるようになりました。
 
そのAという商品では計画値の300%以上の実績を残すことができました。
この経験をもとに、他のB~Eの商品でも同じ手法で実績を伸ばせるようになりました。

営業に限った話ではありませんが、"成功体験"こそが成長を加速させるのです。
 

③周囲の協力を最大限活用する事
 
①~②を経て、周囲から「彼は優秀だ」と言われるようになりました。
それでもまだ、圧倒的No.1ではありませんでした。
そこでまた、何が自分に足りないのかを考えました。
 
周囲には、「こいつには勝てない」と思う営業マンもたくさんいました。僕はもともと平凡な営業マンでしたので。
なので、自分自身の能力だけで勝てないのなら、周りの人の力を借りよう!と思いました。
 
・上司の力を使う
・代理店営業マンとの結託
・顧客から他の顧客への口コミ作戦
 
これらを実践し、様々な角度からのアプローチをするようになりました。
すると、それまででは考えられないほどスムーズに契約が取れるようになりました。
 
自分自身の仕事量も減り、"他人より楽をして他人より実績をあげる"ことができるようになりました。
 
こうして遂に3年目の終盤で初のトップセールスになりました。
人より苦労している分、アドバイスできることは多いのではないかと思います。
 
①~③の具体的手法に関しては、"営業スキル"の記事に記載します。

地方創生への関わり方

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今、盛んに地方創生が叫ばれています。
今の日本では地方経済の低迷、そして人口流出が止まらない。

これを解決するに当たり、地方創生の本質は二つしかないとか考えています。
それは、

・人口増加
・雇用の創出
 
です。これに集約されるように思います。
 
この二つは別物ではなく、雇用が創出されると人口の増加にもつながります。
では、どのように雇用を創出するか。それは、その土地の企業が儲けることです。
そのためには、モノが売れる仕組みを作ればよいのです。少々乱暴ですが、これが手っ取り早い策ではないでしょうか。
 
【モノが売れる→企業が儲かる→納税が増加&雇用創出→街が潤う&人口増加→消費の増加→よりモノが売れる】

といったサイクルを生むのです。
ただ、これが難しいのです。
 
難しいとはいえ、テコ入れの余地は十分にあります。
僕のやろうとしていることは地方企業の営業コンサルティングです。
上記サイクルのきっかけになりたいと思っています。
 
なにしろ日本で一番人口の多い職種が営業職ですのでここにアプローチしていきます。
 
日本の営業マン・営業組織が成長すれば、日本経済が成長します。

富山県への思い

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僕は東京都出身です。
新卒で入社した外資系の製薬会社で初任地が富山県となり、3年間富山県に住みました。
 
それまでの価値観は、「お金がほしい。女性にモテたい。」それくらいしかありませんでした。
渋谷や六本木の夜が大好きでした。(今も好きでなくなったわけではありませんが。)
キラキラした街で羽振り良く遊ぶ事だけが自分の中での成功像であり、それが幸せの形だと思っていました。
 
しかし富山県で3年間暮らし、その考えは180度変わりました。
 
夏には毎週のように自然の中でBBQをし、冬にも毎週のようにスノーボードへ行き、時には海釣り、渓流釣りを楽しみ、
ドライブをしては四季を感じ、美味しい魚と日本酒に舌鼓を打つ。
駅前に飲みに出れば飲み屋の店員さんたちと仲良くなり、地元の人たちとも仲良くなりました。
 
その土地に暮らしていることを実感でき、居心地がいい。
今まで育った環境とは、人との関わり方の違いも実感しました。
より人間らしい、背伸びをしない、ありのままの幸せの形を見つけられた気がします。
僕はそんな富山県が好きになりました。
 
しかし、大きな欠点にも気付きました。
 
①良いものがあるのに売り方やプロモーションのし方が下手すぎる。
②現状に満足し、向上心のない人が多い。
 
この二点です。
非常に"もったいない"と感じました。
 
今のままでいい、と感じる人にとっては余計なおせっかいかもしれません。
でも、"もっともっと幸せになってほしい。もっと自分の思う生き方を実現してほしい。"そう思います。
 
このような課題はおそらく、富山県に限った話ではなく日本全国の地方で起こっていることだと思います。
だからこそ、もっと日本の地方にスポットライトを当てたい。もっと地方から発信し、日本を良くしたい。と思っています。

営業職への思い

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コンサルタントという職を目指したものの、営業は大好きでしたし、今も大好きです。
今も、コンサルティングファームに勤めながらも、「どうしたらもっと営業職が繁栄するか」を考えています。
 
営業職は、良い実績を出せればもてはやされ、実績が出なければ責められる。そんな職種です。
では、よい実績を出せるような能力をつければいい。ただそれだけです。

ただし、あくまでも相対評価でしかないので、"自分に関わった人だけでも良い実績を出せるようになってほしい"と思うのです。
先の記事にも書いたとおり、営業職はビジネスの最前線です。会社の看板です。
 
しかし、日本における営業職は立場が低いと感じることが多いです。
欧米での営業マンは日本よりもっと誇り高く、人々から尊敬される職業のように思います。
 
ではなぜ、このような現状があるのか。
大きな理由の一つに、日本の就職の現状があると思います。
文系出身で特別なスキルを持たない学生は"とりあえず"営業からキャリアをスタートさせる。という流れが当たり前と化しています。
これでは当然憧れを持つ人は少なくなります。
 
また、昨今のAIブームの中で、営業職の大半がAIやロボットに置き換わられるのではないかという話もよく耳にします。
残念ながら営業職の総人口は減るでしょう。
しかし、その中で残った人間の価値はむしろ上がるのではないでしょうか。
 
「これがほしい」と顧客が自分で分かっているものを売るのは今後は人間の仕事ではなくなるでしょう。
しかし、営業マンの本当の価値は、「顧客の潜在的なニーズを本人に気付けせてあげる事」です。
その瞬間にこそ、人の気持ちが動きます。これはロボットにはできません。
 
そのような、"人間にしかできない、その人でなくてはできない"という仕事を作ること、代替できない能力をつけることが必要です。
 
だからこそ、僕は日本の営業マンをより良くすることに力を注ぎます。

トップセールスからコンサルタントになったわけ

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~コンサルに興味を持ったきっかけ~
僕は数年間かけてトップセールスになりましたが、次第に売り上げを立てられるようになってくると、仕事のし方が変わってきました。
"何をしたら売れるか"が分かってくると、"他人より楽をして他人より実績をあげられる"ようになってくるのです。

僕の場合、周りの人を動かすことが得意だったので、かなり自分の仕事を減らすことができるようになりました。
その分、本当に注力すべき顧客にリソースを割けるようになるのです。
しかし、仕事で少し楽をできるようになり、それは同時に自分を見つめ直す時間の増大にもつながりました。

次第に、「自分の成長曲線の角度が鈍った」と感じるようになってしまいました。
どうしたら良いのか分からず、必死に考えて仕事をしている時の方が成長しているように感じたのです。
すると今度は転職を考えるようになりました。

居心地の悪い環境の方が成長できる、と経験則で感じていたからです。
営業はできるようになったと感じていましたが、一方、内勤(バックオフィス系)スキルが皆無であることに気付いていました。

そこで、そのスキルを伸ばせる、一番ハードな環境はコンサルティングファームではないかと思い、興味を持つようになりました。

~迷い~
転職活動をし、無事に自分の望むファームから内定をいただくことはできました。
ただ、そこで給与面の問題が出てきました。

外資系の製薬会社は一般的な他の企業と比較すると給与水準が比較的高いです。
また、営業職では業績が良ければインセンティブも多くもらえます。
当然コンサル未経験の僕は転職する際、給与ダウンを覚悟しなければなりません。実際、総額100万円程ダウンしました。
 
営業がいくらできてもコンサルタントとしての能力とは無関係です。
コンサルタントとして大成しなければ転職しても、ただ辛い思いをして給与を落としただけ。となりかねません。
給与もプライドも捨て、また1からやり直す覚悟が必要でした。
 
これは賭けのようなものですが、一方で飛び込むメリットも感じていました。
それは「営業でトップセールスになったような人間はそう簡単にそのポジションを捨てない。だからライバルは少ない。」ということです。
 
自分が躊躇したように、お金とプライドを捨てて賭けに出られるトップセールスはなかなかいないと考えました。
No pain, no gain.です。
 
(営業コンサルタントを名乗る業者は多くありますが、そのほどんどは自分が営業で経験したことをもとにアドバイスするスタイルであり、大手コンサルティングファームの提供するコンサルティングとは違うものだと考えています。)
 
これは、自らの存在価値をニッチな市場で高めるという意味では、ランチェスター戦略式のキャリアの描き方かもしれません。

僕が育った営業マン時代の環境

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僕は新卒で外資系の製薬会社に入社しましたが、その後の道のりは平坦ではありませんでした。

①医学・薬学の知識ゼロでの入社
文系出身の自分には医学や薬学の知識は皆無で、認定試験の勉強をするといつも同期内90名中下位2割程度に入っていました。
結果的に、試験本番では上位2割程度の順位で合格はできましたが、これは理屈抜きにただひたすら暗記して乗り切りました。
 
無事に認定試験を突破しても医師を相手に薬剤知識で勝負するためにはかなりの時間を要しました。

②初任地配属にて全国47都道府県中、47位の営業所へ配属
配属面談にて「勤務地の希望はあるか」と聞かれました。
僕は「どうせ飛ばされるならとびっきり田舎の厳しい環境へ!」と伝えました。
すると、富山県(自社内都道府県別売上ランキング47位)への配属となりました。さすがに震えました。
 
外資系企業のメリットでもありデメリットでもあるかもしれませんが、成果でボーナスが大きく変動し、給料に直結します。
これにより、配属された土地にて自社製品の売り上げが良いか悪いかという運によってボーナスの額が変わるということがあります。

苦戦地域に配属されると、どんなに頑張ってもなかなか結果が出ずボーナスが出ない、給料が上がらない、といったことが起こりえます。勤務地格差が大きいのです。
この不公平感により辞める人も多く、負けている地域は人も根付かないので負のスパイラルに陥ります。結果、万年ビリ営業所が生まれるのです。

実際、僕の所属していた営業所ではインセンティブの支給額がゼロという先輩もいました。
 
このような中で育ってきたので、創意工夫のできる営業マンになれたのではないかと思います。

③「圧倒的」になることの難しさ
入社2年目の終盤に、ある製品の売上で全社上位3%程度に入ることがありました。
必死に頑張り、担当地区の歴史を塗り変えるような実績を出すことができました。実際、北陸地区では少し有名になることができました。
「実績の伸び率」では恐らく全国No.1だったのではないかと思います。
 
しかし、会社にはほとんど評価されませんでした。決算後のパーティにて表彰されることはありませんでした。

内心、「この人たちより自分の方がずっと凄い。自分の方が評価されるべきだ」と思っていました。
ただ、当然会社にとってはその実績を出すまでのプロセスは関係なく、数字のみが判断指標となります。

そこで「誰からも認められるNo.1にならなければ意味がない」ということを思い知りました。
 
祝賀ムードの明るいパーティの最中に一人、悔し泣きをし、上司と「絶対に来年は日本一になる」と固く約束したことは一生の思い出です。

上記3点のように、苦しい時期もありましたが何とか3年間でトップセールスになることができました。
僕は決して営業トークが抜群に上手なわけではありませんし、話が特別に面白かったり、ずば抜けて頭が良いわけでもありませんでした。
 
それでも年間約2000回もの商談を重ね、試行錯誤を繰り返していく中で気付き、ブラッシュアップしてきたノウハウや理論があります。
どんな人でも、考え方やちょっとした技術を持っているだけで営業成績は大きく変わります。

これを知らないのは営業マンにとって大きな損失なので、自分に関わった人だけでも"売り方のコツ"を知ってもらいたいです。
 
"売り方のコツ"を知ることで少しでも楽しく、幸せな営業マンライフを送っていただければという思いで営業をコンサルティングする仕事を目指すようになりました。
是非、営業に興味のある方は今後のブログを読んでいただければと思います。