営業を科学する方法
近年、営業を科学するという言葉は少しずつ浸透し始めているようだが、
その内容まで完全に理解している方はどれくらいいるだろうか。
今回は、その手法を徹底解説しようと思う。
(※本記事は営業マンというより、営業管理職や経営者に向けた記事です)
なぜ、営業を科学する(科学的に捉える)必要があるのか
皆さんの所属する営業組織ではこのようなことは起こっていないだろうか。
このような兆候が現れていたら要注意だ。
しかし残念ながら、ほとんどの営業組織では上記のいずれかに当てはまる確率が極めて高い。
これらを解消し、自走しながらPDCAサイクルを回し、
”狙って(狙った通り)”売上げを向上させることができるようになれば、
これほど経営上ありがたいことはないだろう。
逆説的に、”狙って(狙った通り)”売上げを向上させることができない営業組織は
経営上、非常に不安定で投資しづらく、昭和の時代からなかなか進化できていない
会社も非常に多いと感じる。
これらは、これから記す手法を理解し、実行することで
簡単に解決できるので是非読んでいただきたい。
営業を科学する手法
大きく分けると必要なことは二つだけである。
それは、
- プロセス管理
- 購買心理から逆算したアプローチ
である。
プロセス管理
営業活動にはプロセスがある。
初めて顧客に接触するフェーズから、
初回アポイント、提案アポイント、クロージング、申込書提出(回収)など、
受注までに生じる各プロセスを切り分けて考え、
各フェーズの歩留まり(率)を集計し、
どのフェーズで失注しているかを可視化する。
このプロセスを設計し、集計していくことで
その営業組織の強みや弱みが明確になってくる。
例えば、このようなものである。(SFAにて集計)
上記のグラフでは、明らかに提案アポイントから
クロージングのフェーズへの移行率が低く、
ここがボトルネックになっていると言えるだろう。
この例において提案⇒クロージングへのフェーズ移行率を
50%まで引き上げることに成功すればそれだけで
受注率は10%以上上がる。
つまり、この営業チームが6名で毎月1億売り上げていると仮定すると
年間で1.2億円、売上を向上させることができるわけである。
これをやらない手はないだろう。
しかしながら、”どうやって提案⇒クロージングのフェーズ移行率を10%も上げるのか”
という点がわからない方が多いのではないだろうか。
そこで、購買心理から逆算したアプローチで商談の中身を理解し、
このプロセス管理と紐づけて考えることにより改善が可能となる。
その内容は下記に記す。
購買心理から逆算したアプローチ
これは、以前の記事にて掲載がある”商談のゴールデンスタンダード”である。
sales-scientist-nakatani.hatenablog.com
顧客側の心理として、
初めて営業と接触したタイミング~”買おう”と思う瞬間
までの心情の変遷がある。
この”心の動き”を理解し、どのように導くかを設計できれば
受注までのステップを”狙って”進めることができる。
下記のようにセールスステップと連動して考えれば、
どこで躓いたかが一目瞭然だ。
つまり、これをプロセス管理と結び付けて考えると、
- どこのフェーズ(ステップ)が課題で、
- なにをすれば解決できるか
が明確になるというわけである。
例えば、下図のような相対表が作れる。
これを組織の共通言語として浸透させ、常にプロセス指標を集計できていれば、
日本の工場での生産管理と全く同じでIoTで生産管理できている状態を
営業組織でも作り上げることが可能になるのである。
そうすれば、上記に挙げたような
受注率10%向上などは、当たり前にできる話となるのである。
(実際私もそうやってコンサルティング時に受注率を向上させている)
是非、勘や経験、根性などの営業は卒業し、
営業を科学し、”狙って(狙った通り)”売上を上げられるようになっていただきたい。
そうすれば、営業という仕事はより自由で、創造的な仕事となるはずだ。