sales_scientist_nakatani’s blog

「営業というアートを科学する」Sales Science Lab.代表 中谷真史のブログ。 慶應義塾大学経済学部卒。新卒にて入社した外資系製薬会社にてトップセールスを経験。 その後、総合系コンサルティングファーム、独立系セールス・マーケティング領域の経営コンサルティングファームを経て、 営業コンサルタントとして独立。SaaS系Sales×Technologyスタートアップにも勤務。https://sales-science-lab.github.io/

嗅覚は磨ける

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「営業はセンスだ。」

これはとある大手証券会社の元トップセールスと対談した際に彼が言っていた言葉である。

 

センスとは?

才能なのか。

 

今ひとつ論理的に説明が付かない。

そこでディスカッションしていくうちに、”センス=チャンスやピンチをかぎ分ける嗅覚”ではないか、と定義された。

 

では嗅覚とは何か。

 

嗅覚を要素分解すると、、

①観察力

②洞察力

③想像力

となると私は考える。

 

実際の営業活動に落とし込んでみよう。

 

①観察

商談前、顧客の事を徹底的に調べる。その人はどのようなバックグラウンドを持ち、どのような人なのか。売りたい物に対する興味がありそうか、資金は豊富か、決定権を持っているのか、人間関係はどうか、などである。

また商談中は、どのような話に食いつくのか、持ち物の趣味はどうか、癖は何か、楽しいときや怒っているとき、喜んでいるとき、焦っているとき、イライラしているときにどのような表情をするのか、どのような行動を取っているか、など。

つまり、目で見て得られる(可視化できる)情報である。これが観察であり、この情報をいかに細かく正確に収集出来るか、である。

人より情報を持つ者が勝つ。

 

②洞察

英語で言うinsightである。

表面的に目に見えるものではなく、もっと深層にあるものに対する理解のことだ。

例えば、なぜこの人は今、怒ったのか?その理由を理解することが洞察だ。

もっと簡単なを挙げると、

・顧客が商談中に時計をちらちら見ている。

→”時計を見ている”と気付くのが観察。

→なぜ時計を見ているんだ?「何かこの後予定があって急いでいるんだ」と理解するのが洞察。

このように考えると非常に簡単だが、商談中の顧客の行動は無限にある。その中で、どこに目をつけ、どう理解するか、が重要である。

 

③想像

お気づきだろうか。この3つのポイントは時系列である。

目で見える物をしっかり見て観察し、その理由まで見通し、その後、想像する。

想像とは、今ある情報を元に、”自分がこうしたら相手はどう反応するか、どう思うか”という想像である。いわば仮説構築力でもある。

上記の例では、

・毎週月曜日はよく時計を見ている

→つまり月曜はこの後の時間に予定を入れているのかな。

→ということはいつもより30分アポイントの時間を早めよう。

→そうしたら商談に集中してもらえるな。

→その気遣いをサラッとアピールしたら気遣いに喜んでもらえるかな。

などと行動に落とし込む。

 

質の高い観察と洞察があれば、精度の高い仮説が立てられる。

つまり”こういう話を、このタイミングで、こういう言葉のチョイスで話したら、きっとこの人は買ってくれる”という想像をする。ストーリーを描くことが出来るのだ。

 

この3つの能力を磨くことが出来ていれば、顧客の反応や市場のアクションに対し競合より早く、正しい対応が出来る。これが、一般に”嗅覚がある”営業マンの実態である。

 

これを人は”センスがある”という一言で片付け、才能のせいにし、論理的に解釈し努力することを諦めているのでは無いだろうか。

 

是非、これを知った方は日頃から顧客をよく観察し、顧客を誰よりよく知り、精度の高い仮説を構築する癖をつけPDCAを回していって欲しい。業績は大きく飛躍するだろう。